刺青治療で考えること


私は形成外科医で、これまで数々の手術を行ってきました。その中で一番やりたくない手術が刺青の手術です。
理由は1つ。
無いもない(色は付いていますが)キレイな皮膚を切り取り、そこにキレイな太ももや背中の皮膚を移植しなければいけないからです。当然、傷痕は二つできることになります。
傷痕をよりキレイにするためにトレーニングを重ねてきたのに、刺青だけはキレイな皮膚に傷痕を作ることになります。
この気持わかりますか。
親からもらった体に(と言っても私の親ではありませんが)メスを入れ、きれいな鼻や眼を作るのではなく、ただ切り取り皮膚を移植する。やけどでもなく、生れながらのあざでもない。
それでも若い頃は、皮膚移植の練習と考え、技術的なことばかり考えて行っていました。患者さんのバックグランドなどは全く考えずに。手術の数をこなすことが技術を上げることだとばかり考えていました。
しかし、ある時から刺青の持つ問題点が痛感されるようになりました。
 
就職
結婚
出産
孫の誕生
 
治療を希望される方はそれぞれいろいろは悩みをもって受診されていることに。技術的なことばかり考えていた私には、治療を受けたい理由などあまり重要ではありませんでした。
私にとっては多くの患者さんの一人でも、患者にとっては一生の一度の、それも人にはいえない治療でることを。
刺青の治療を考えている方、これから刺青を入れようとしている方(実際は、入れる前に取ることを考える方はいないと思いますか)の参考になればと思い、現在行われている治療法について、私なりに考えてみたいと思います

ぜひ役に立ったと思いましたらシェアお願いいたします