2012年の日本形成外科学会で発表してきました。


2012年4月13日に東京で開催された日本形成外科学会総会

「炭酸ガスレーザーを用いた広範囲刺青治療後の問題点」

について発表してきました。

広範囲刺青の治療は難しく、しかも短期間で治療しなければならないため 私は「炭酸ガスレーザー」を使用しています。とても良い治療法を思っているのですが、やはり 傷跡は残ります。

その傷あとについて検討した発表です。

刺青治療はされる方も大変ですが、する方も大変です。

 

発表の抄録を掲載ます。

<目的>
通常、広範囲刺青の治療には皮膚移植が行われているが、この場合採皮部に瘢痕が生じ、これが患者に新しい悩みとなる。

そこで、最近は、フリーハンドなどを用いて分層植皮における採皮の要領で色素を取り除くだけで、皮膚を移植しない方法も行われている。

この削皮術は出血や疼痛が強いことが欠点であり、特に出血は術後創処置を希望しない患者の場
合大きな問題となる。

演者は術後出血と疼痛が少なく、しかもかなりの広範囲刺青も1回で治療できる利点から炭酸ガスレーザーによる削皮術を行っている。

しかし、治癒期間が長くなり、瘢痕の程度が強くなることがある。

今回、炭酸ガスレーザーを用いて治療を行った広範囲刺青患者の照射部に生じた高度瘢痕拘縮について若干の考察を加えて報告する。

<上皮化までの期間>
照射後のfree hand knifeなどによる剥皮術では創の上皮化までの期間は2~3週間であるが、炭酸ガスレーザーでは3~6週間と長くなる。

これは,炭酸ガスレーザーでは、周囲組織への熱拡散が高いため目的以外の組織、特に真皮の深層まで損傷が及ぶためと思われる。

<感染の有無>
治療を受けた患者は頻回の受診を希望せず、患者自身で創の管理を希望する場合が多い。そのため創の管理が不十分となり、感染が生じやすくなる。また、熱損傷が予想以上に真皮深層にまで達したことも原因と思われる。

<好発部位>
刺青は上腕・胸部・背部外側などケロイドの好発部位に好まれる傾向がある。

<考察>
広範囲刺青治療の目的が刺青の完全除去であり、これが達成できればたとえ高度な肥厚性瘢痕として残ったとしても問題ない。

しかし、刺青が入っている部位がケロイドの好発部位であること、また炭酸ガスレーザー照射では創傷治癒が遅延するために、照射部位の瘢痕は避けられない事などをあらかじめ患者に十分説明し、理解を得る必要がある。

 

無題

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