日本形成外科学会学術総会でのピアスケロイド治療の発表1


日本形成外科学会学術総会は毎年行われる形成外科医の学術学会です。

私はこれまで「ピアスケロイド」に関する発表を行った来ましたし、これからも行う予定です。

これまで発表してきた演題をご紹介します。

 

耳垂部ピアスケロイドに対する外科的治療患者33例の検討

 

<目的>近年、ピアス型イアリングの装着が急速に浸透し、それに伴い種々の合併症が生じている。合併症としては、局所の炎症、肉芽形成、嚢腫、ケロイドなどがあり、このうちケロイドは最も治療に難渋するものである。今回、耳垂部ピアスケロイドに対し、持続圧迫固定とステロイド局所注入などの後療法を前提とした積極的な外科的治療を行い良好な結果を得たので報告する。

 

 

<対象および治療法>1999年4月より2003年2月までに外科的治療および後療法を行い8ヶ月以上経過観察できた耳垂部ピアスケロイド33例41箇所を検討した。手術法は可能な限り切除・単純縫合を基本とした。しかしケロイドが大きく全摘すれば耳垂が小さくなったり、耳垂のほとんどが病変部である場合は、一部の皮膚とケロイド塊のみを選択的に摘出し、残った表層皮膚を皮弁として使用し欠損部を再建した。また、後療法としては, ステロイドの局所注入を2週間毎3か月間行い、同時に熱可塑性プラスチックを用いた持続圧迫イアリングを6か月間使用させた。

 

 

<結果>年齢は16歳から54歳(平均21.8歳)、男10例、女23例であった。ピアス施術からケロイド発生までの期間は2か月から102か月(平均28.7ヶ月)であり、ピアス施術者は患者本人29例、友人2例、医療機関2例であった。発生部位は 右が例4例 左が21例で 両側が8例の41箇所であり、このうち4例に複数個生じていた。手術方法は 切除・単純縫合が22例、切除・皮弁形成術例3例、切除・ケロイド表層皮弁術16例であった。手術後の経過観察期間は8か月から36か月(平均14.5月)であり、2例に再発を認めた。

 

 

<考察>ピアスケロイドは保存的療法の治療成績があまり良くないことを考えると、後療法を前提とした外科的治療が有用であると思われた。

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