L眼科下垂 分類


眼瞼下垂 分類
「眼瞼下垂といってもいろいろな分類があります」

大きく分けると

「先天性眼瞼下垂症」
「後天性眼瞼下垂症」
「偽性眼瞼下垂症」
となりますが、それぞれの眼瞼下垂症も細かく分けることができます。 

実際に治療を受けられている患者さんの多くは、「後天性眼瞼下垂症」の中の
「加齢性眼瞼下垂症」ですが、参考のために分類も書いてみます。

 「先天性眼瞼下垂」
1)単純先天性眼瞼下垂症

まぶたを上げ下げする筋肉である上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)自体の発達やそれを動かす動眼神経の発達異常によるものと考えられていて、生まれつきまぶたが下がっている状態を言います。

一般的に片側性で、出生直後は上まぶたの下垂が強度で眼を開けることはできなのですが、徐々に下垂が軽減してきます。

通常、眼の機能には問題はないので、急いで手術を受ける必要はありません。

しかし、時に弱視や斜視の原因となったり、これらを合併している場合もありますので眼科での診察と経過観察が必要です。

2)瞼裂狭小症候群
生まれつき眼裂高と眼裂幅(眼上下・左右に小さい)がともに小さい状態です。
家族性があります。手術で眼裂高と眼裂幅を広くします。

「後天性眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)」
1)加齢性眼瞼下垂症(治療で一番多い眼瞼下垂症です)
「年をとって目が細くなってきた」という主訴で受診されます。
もともとは普通にまぶたが開いていた人が少しずつまたは急にまぶたが下がってきた状態です。これは、まぶたを上げ下げする筋肉(上眼瞼挙筋)の末端部の膜である腱膜(挙筋腱膜)が伸びたり、ゆるんでしまうことに生じる眼瞼下垂でさらに3つの原因があります。

 a)  上眼瞼挙筋伸延性眼瞼下垂症
眼瞼挙筋の筋肉自体が加齢やまぶたの重みで伸ばされることで眼瞼下垂が生じます。

 b)  腱膜性眼瞼下垂症
眼瞼挙筋腱膜と瞼板との接合している部分が緩くなり、眼瞼挙筋が収縮しても瞼板にその動きが十分に伝わらず、まぶたが上がりにくい状態を言います。

 c)  離開性眼瞼下垂症
眼瞼挙筋と瞼板が離れたために生じる眼瞼下垂症を言います。
長期ハードコンタクトレンズの使用
(私の眼瞼下垂の原因はこれにあたります。40年近くハードコンタクトレンズを使用していました。)
白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などの手術後
アトピー性皮膚炎や花粉症でまぶたを擦ることで生じます。

 d)挙上性障害眼瞼下垂症
眼窩脂肪の増大やまぶたの皮膚の重さで眼瞼挙上が制限され下垂を生じます。

「神経に問題がある眼瞼下垂」
1)重症筋無力症
100万人に5~6人の発生率です。筋肉を動かすためにはアセチルコリンという物質が必要です。この物質は「神経と筋肉が繋がっている神経筋接合部にあるセチルコリンレセプタに十分に伝達されないために上まぶた上がらなく状態を言います。朝は下垂はないか少しなのですが、夕方になると下垂が強くなる日内変動が認められるが特徴です。

 2)動眼神経麻痺
脳梗塞、脳動脈瘤などにより動眼神経が麻痺し眼瞼挙筋が緩むことで生じます。

 3)Horner症候群
頸髄C8から胸髄Th12までの交感神経が、怪我や腫瘍の圧迫及び損傷で下垂が生じることを言います。
私が経験した患者では「両手掌の多汗症に対する交感神経遮断術」後に左眼瞼下垂症が生じました。手術が改善しました。

「筋肉に問題がある眼瞼下垂」
1)ミトコンドリア脳筋症
ミトコンドリアDNAの変異により下垂が生じます。
20歳頃より眼瞼下垂・心筋伝導障害・網膜色素変性症が認められます。

「怪我による眼瞼下垂症」
1)軟部組織損傷性眼瞼下垂症
まぶたの怪我により皮膚や筋肉ばかりでなく、眼瞼挙筋が断裂したり
損傷を受けたりすることで生じます。まぶたを怪我した場合は適切な治療が重要です。

 2)骨折性眼瞼下垂症
怪我で眼の周りの骨が骨折すると、骨片により直接動眼神経を損傷したり、著しい出血や腫れで動眼神経が麻痺することで起こります。

 3) 術後性眼瞼下垂症
白内障や緑内症などの眼の手術後に生じます。手術後の著し腫れや術中に

使用される開眼器により挙筋腱膜と瞼板が緩んだり、高齢者の場合は元々挙筋腱膜と瞼板がゆるんだのがさらに開眼器で両者が外れてしますことがあります。ただこれらの手術は必要ですので、術後にまぶたが下がってきたらご相談ください。

「偽眼瞼下垂症」 
本当は眼瞼下垂ではない状態なのですが一見眼瞼下垂のようにみえてしまう状態を言います。

1)眼瞼皮膚弛緩症
加齢によりまぶたの皮膚とその下にある筋肉(眼輪筋)が緩み、皮膚がまぶたの縁から下がってしまし、視野が狭くなりまし。たるんだ皮膚と切除し眼輪筋を短縮することで物が大変見やすくなります。

 2)顔面神経麻痺に伴う眼瞼下垂症

顔面神経麻痺により前頭筋や眼輪筋の麻痺より眉毛が下がることで起きます。

3)眼瞼痙攣

顔面神経の不規則な刺激のよりまぶたの痙攣が生じ、常にまぶたが開閉し続ける状態を言います。ボトリヌス毒素(ボトックス)の注射が効果的です。

色々な眼瞼下垂症がありますが、実際に治療が行われているのは

「加齢性眼瞼下垂症」

が一番多いです。

 

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やまもと形成外科クリニック 併設

新潟眼瞼下垂治療センター