切除縫縮術の限界


刺青の治療には、Qスイッチレーザー・切除縫縮術・炭酸ガスレーザーを用いた削皮術を単独か組み合わせて行っています。

 

このうち切除縫縮術は、確実で1回で終りますので、傷跡を気にされなくて短い治療期間をご希望の方ににお薦めしています。

 

切除縫縮術とは、刺青が入っている皮膚を完全に切除することですが、当然切除したらそこに欠損(穴)が開きます。そこで、両方の皮膚を寄せて縫い合わせる方法です。

 

切除縫縮術には単純切除縫縮術と分割切除縫縮術とがあります。

 

単純切除縫縮術は1回で切除して縫縮する方法です。
小さな刺青や長さはあるが幅が狭い刺青、また幅広くても皮膚に伸びのある部位では問題ありません。しかし、それ以外の場合は分割切除縫縮術となります。

 

分割切除縫縮術は2~3回に分けて切除縫縮を繰り返す方法です。
手術の間隔は、手術により寄せ合わせた皮膚の弾力が回復する約6か月間とていますが、部位によっては1年以上待つこともあります。

 

これらが切除法の説明ですが、実際は刺青の場所や皮膚の状態で異なります。

 

そこで、単純切除縫縮術か分割切除縫縮術かを決める方法を、上腕の外側の刺青を例にしてみます。

 

まず、腕を伸ばして刺青のある皮膚をつまみます。
次に患者さんに腕をまげてもらい、特に抵抗もなくできれば1回の単純切除縫縮術が可能となります。

 

多少抵抗がある場合は、患者さんの希望に合わせて行います。どうしても1回の治療で終わらせた場合は、無理をしても単純切除縫縮術を行います。

 

しかし、かなり抵抗があり完全に曲げることができない場合は、分割切除縫縮術となります。この場合も患者さんによっては1回の治療を希望されることもありますが、十分に説明して分割切除縫縮術にさせていただいています。

 

この場合、通常、2回の手術が理想的なのですが、刺青の大きさによっては2回でもまだ残ることがあります。1回目の手術の時が一番たくさん刺青を取り除くことが出来、回数が増えるにつれて取り除ける刺青の大きさは小さくなります。

 

これは皮膚に余裕がなくなるので当然ですが!!!!!!

 

では、何回まで手術が出来るかというと?????

おそらく3回までだと思います。
但し、小さい刺青が散在している場合は別ですが!

最近は 雑誌やインターネットでも切除術で刺青治療を行なっているクリニックが多くなりました。

これはレーザー治療では限界があるため、最終的には切除術が適応となるからです。

 

ところが、患者さんの中には、どのような刺青でも1回ないしは2回の切除で、すべての刺青を完全に取り除くことができると思われている方が増えてきました。

  

残念ですが、切除術がすべての刺青に適応できるわけではありません。

 

ここに、上腕に横幅11cmX長さ13cmの刺青があり、それを切除術ですべて取り除いて欲しいと希望された女性がおられるとします。
ここで問題となるのが、刺青の横幅です。2~3cmでしたら問題なく寄せて縫い合わせることは簡単です。しかし11c
mとなると別です。
女性の上腕の腕回りは約22cmほどですので、そのうちの11cm  腕の半分以上の幅です。

 

「何回かに分ければ出来るのでは?」という質問も考えられれます。

 

そこで、仮に4~5回手術を行なって取り除くことが出来たとしたら、どうなっていると思いますか?

 

腕が半分の細さとなり、それに伴い腕は全く動かなくなっています。
大変な機能障害が残こってしまいます。

広範囲の刺青は、切除法のみでは不可能なことがご理解いただけたでしょうか?

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