耳垂部ピアスケロイド術後再発3例の検討


ピアスケロイドの治療は決し簡単ではありません。

手術後の後治療が重要です。しかし、その後療法を行わない患者さんもおられます。

そのような患者さんの3名を発表しました。

 

<目的>

耳垂部ピアスケロイドは手術治療によく反応することから、積極的に手術が行われている。しかし、ケロイドにおける外科的治療は、手術自体がケロイドを生じる誘因となりうる。そのため、術後療法が必要であるが、その有無は術者により意見が分かれている。

今回、術後療法が行われなかったために再発が生じたと思われる耳垂部ピアスケロイド3例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。

 

<症例>

症例1は21歳女性で、皮膚科にて左耳垂部ピアスケロイドの摘出術を受けたが、特に後療法は行われなかった。6か月より再発し術前の大きさの2倍になったため受診した。

症例2は26歳女性で、当クリニックで左耳垂部ピアスケロイドに対して摘出術を行い、後療法を予定していたが受診しなかった。術後1年、術前の大きさの3倍になったため再受診した。

症例3は25歳女性で、6年前自分で両耳垂にピアス穴あける。4年前ピアスケロイドが生じたため皮膚科にて摘出術を行われたが、後療法は行われなかった。2年前より再発したため受診した。

 

<治療および経過>

3症例とも摘出後、熱可塑性プラスチックによる圧迫固定とステロイド局所注入の後療法を行なった。術後1年から1年半で経過観察中であるが、再発は見られていない。

 

<考察>

再発の要因としては1)ケロイド体質2)発生から手術までの期間3)大きさ4)術後ケロイド残存の有無5)手術により健常皮膚への手術侵襲の程度6)術後療法の有無などが考えられる。このうちどれが再発の直接の要因となったかは不明だが、術後療法の有無が重要と考えられる。

術後療法としては、局所の圧迫療法,ステロイドの局所注射, Tranilast内服,放射線療法などが行われているが、熱可塑性プラスチックによる圧迫固定とステロイドの局所注射が簡便で有用と考える。

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