意外と知られていないほくろの正体 


患者さんから「悪性のほくろがあるとテレビで知ったのですが、私のこのほくろ大丈夫でしょうか?」と質問を受けることが少なくありません。

マスコミで「皮膚がん」のことが取り上げられるとしばらくの間、ほくろの相談が多くなります。
しかし、そのほくろですが、まだ詳しく分かっていないことがたくさんあります。
ほくろについて これまでの私の経験と学会での発表および論文から得た情報を合わせてお知らせします。

1)ほくろとは
2)ほくろの分類
3)ほくろが増える理由
4)ほくろと悪性化

 

ホクロとは

「ほくろ」とは一般によく使われている俗語で医学的用語ではありません。辞書によると「ほくろ(黒子)とは暗褐色ないし黒色の扁平な班、または半球状に盛り上った皮丘で、小豆大くらいのものをいう」とありました。分かりづらい表現です。

さて、この「ほくろ」は、皮膚の中に点在する色素細胞が腫瘍化してできた皮膚のできものと考えられていますが、なぜできるのか詳しいことはまだ判っていません。
医学的に「母斑細胞母斑」と言われ、誰でも数個はありますが、多い人では100個以上もみられます。

さて、この母斑という言葉ですが、英語ではnevusと訳され、その語源はmaternal impressionという意味だそうです。すなわち、「母斑とは元来、(母親から刻印された)生まれつきの皮膚の限局性の色調や性状の異常を示したもの」と考えらえています。

すなわち、お母さんのお腹のなかで赤ちゃんが成長するときになんらかの原因でできるということです。

 

ほくろの分類

ほくろ(母斑細胞母斑)は先天性母斑細胞母斑と後天性母斑細胞母斑に別けられます、

先天性母斑細胞母斑は生まれた時にすでにあるもので、後天性母斑細胞母斑とは幼児期から成人になるにつれて発生するものを言います。

しかし、この後天性母斑細胞母斑は、いわゆる生まれるきの「母斑」とは異なり、皮膚の中にある「メラノサイト」が生後 紫外線などの影響を受けて「ほくろ」という腫瘍になったという説もあり、未だはっきりした事は分かっていません。

実際の診療で治療を行っている「ほくろ」とは、後天性母斑細胞母斑のこととなります。

 

ほくろが増える理由

ほくろ」の個数は年齢とともに増えてきます。日本人1人あたり直径2mm以上の「ほくろ」の数は、20歳〜40歳で最大になり、平均6.7個という報告があります。
ホクロは体中どこでも発生しますが、特に顔、首、腕などが気になるところです。

増えてくる理由としては、環境因子・紫外線の影響・ホルモンの変化・免疫力の低下などが挙げられていますが、遺伝因子も関係しているのではないかと考えらえています。
この中でも、紫外線が大きな原因と考えられています。

 

ほくろと悪性化

時々、「ほくろが悪性化して皮膚がんになった」という話を聞くことがあります。これが「本当は そうではないのか」は学会でも議論が分かれています。
ただ、最近は「ほくろがメラノーマ(悪性黒色腫)に直接変化することは証明されていない」と言われています。
これは、メラノーマの成長の初期の過程には、「ほくろ」と紛らわしい状態があり、これを「ほくろ」と判断してしまうからだそうです。

すなわち、良性の「ほくろ」が悪性のメラノーマに転化することは稀で、メラノーマはメラノーマとして始まり、たまたま初期の状態がほくろに似ているということです。

これは、メラノーマの患者さんの調査で、初めの頃から普通のほくろと思ってはいたが、他のほくろとは少し異なる大きな色素斑であったという報告より、すでにあるメラノーマをほくろと思っていたと考えれています。

しかし、なかなかその判断は難しいと思います。辺縁がいびつで、中心部だけが盛り上がっているような不規則なかたちのもの、急に大きくなったり、ホクロの回りが少しずつ赤みを帯びたり、黒い色がにじんできたほくろは注意が必要です。

また、欧米人では、全身のほくろの総数がメラノーマの発生のファクターとなるという論文が多数発表されています。

しかし、このことは肌質の異なる日本人は当てはまりませんが、ほくろが数十個以上ある場合はメラノーマが含まれれる可能が否定できませんので、定期的に診察を受けられることをお薦めします。

 

まとめ

1.「ほくろ」は、皮膚の中に点在する色素細胞が腫瘍化してできた皮膚のできものと考えられていますが、なぜできるのか詳しいことはまだ判っていません。

2.ほくろ(母斑細胞母斑)は先天性母斑細胞母斑と後天性母斑細胞母斑に別けられます。

3.良性の「ほくろ」が悪性のメラノーマに転化することは稀で、メラノーマはメラノーマとして始まり、たまたま初期の状態がほくろに似ているということです。

4、ほくろが数十個以上ある場合はメラノーマが含まれているの可能が否定できませんので、定期的に診察を受けられることをお薦めします。

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