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髭脱毛の部位分けに注意!―「細かい金額設定」が高くつく仕組み
街中やネット広告でよく見かける「髭脱毛1部位○○円」。
一見すると手軽に始められそうな価格設定ですが、実際には「全体をやると高くなる仕組み」になっていることが多いです。
たとえば「口周り」「あご」「ほほ」「フェイスライン」「首」など、顔を5〜6部位に分け、
1部位3,000〜5,000円と表示しているケース。
「1回3,000円なら安い」と思って始めても、5部位照射すれば15,000〜25,000円/1回になります。
さらに、髭脱毛は1回では終わりません。
平均的に5〜8回、毛の濃い方では20回以上かかることもあるため、
結果的に30万円~50万円を超える総額になることも少なくありません。
つまり「安く見える広告」は、部位を分けることで価格を細分化しているだけ。
実際に続けようとすると、トータルでは思った以上の負担になるのです。
分けすぎると起こる“照射ムラ”
料金面だけでなく、仕上がりの美しさという点でも部位分けには注意が必要です。
私自身が髭脱毛を受けたとき、そして患者さんを照射してきた経験から感じるのは、
「境界線を分けるほど、仕上がりが不自然になる」ということです。
たとえば「口周りだけ」を照射すると、頬やあごとの境目がくっきり残り、
まるで「髭の形を残したような」不自然な印象になることがあります。
また、照射していない部分の毛が相対的に太く見えるため、かえって目立つこともあります。
実際に照射を担当していて感じるのは、
毛は均一に減るわけではないということ。
多くの男性は外側(フェイスライン)から薄くなり、口周りが最後まで残る傾向があります。
これは照射漏れではなく、その人特有の毛周期や毛根の深さの違いによるものです。
ですから、部分的に施術を区切るよりも、全体をバランスよく照射した方が自然な減り方になります。
当院が「口周り」と「全体」の2つの範囲しか設定しない理由
私のクリニックでは、あえて料金設定を「口周り」と「顔全体」の2種類だけにしています。
それは、医学的・審美的・経済的な理由があるからです。
まず、医師としての立場から言えば、
顔というのは一枚のキャンバスのようなもの。
頬・あご・フェイスラインをバラバラに扱うと、照射ムラが生まれ、輪郭が不自然に見えることがあります。
次に、経済的な側面。
たとえば口周りだけを希望される方でも、
「やっぱりフェイスラインも少し気になる」と後から追加するケースが非常に多い。
結果的に何部位も足していくより、最初から“全体セット”で行う方がコストを抑えられるのです。
そして何より、これは私自身の体験からも言えることですが、
「部分照射では満足しにくい」。
一部だけきれいになっても、残った部分が余計に気になってしまう。
髭脱毛は“全体のバランス”が整ってこそ、自然で清潔感のある仕上がりになります。
実際に照射して気づいた“境界の違和感”
私自身が照射を受けた際、感じたのは「ここまで照射して、ここは照射しない」という線引きの難しさです。
髭の生え方は人によって微妙に異なり、左右のバランスも完璧ではありません。
ですから、「この範囲までは料金に含まれるが、ここから先は追加」という方式では、
見た目の自然さを損なう可能性が高いのです。
また、患者さんの中には「外側だけ薄くしたい」という希望もありますが、
実際には外側から減っていく方が多く、逆に内側(口周り)が最後まで残るケースが多い。
これは、毛根の深さや密度の差による“自然な反応”で、照射漏れではありません。
こうした反応の差を踏まえると、やはり顔全体を均等に照射することが最も合理的です。
“安く見せる”より“誠実に伝える”料金設計
美容医療の世界では、「価格の見せ方」が非常に重要です。
安く見せようと思えば、部位を分け、キャンペーン価格を掲げることはいくらでもできます。
しかし、実際に患者さんが支払うトータルの金額が高くなるのでは意味がありません。
当院では、「誠実な料金設定」をモットーにしています。
1回ずつの都度払い、そしてシンプルな部位設定しています。
これにより、途中で辞めたくなったときにも無駄がなくなります。
さらに、医師が直接照射するため、肌状態に合わせた出力調整が可能です。
「安いけど誰が打っているかわからない」ではなく、
「医師が責任を持って施術する」――それこそが医療脱毛の本質だと考えています。
まとめ:本当に必要なのは「わかりやすく、納得できる仕組み」
髭脱毛は、価格の安さだけで選ぶと後悔する治療です。
「部分的にやるつもりが、結局全体をやることになった」
「広告の金額と実際の請求額が違った」
そんな声を、これまで多く聞いてきました。
私が伝えたいのは、本当の意味での“安さ”とは、無駄がないことです。
そして、誠実でわかりやすい料金設定が信頼を生むということです。
髭脱毛は、長い時間をかけて肌と向き合う治療です。
だからこそ、「医師が直接対応し、全体のバランスを見ながら行う」ことが、
安全で満足度の高い結果につながります。
見た目の清潔感も、経済面の納得感も、シンプルで誠実な仕組みから生まれる――
それが、私が髭脱毛を30年近く見てきて出した答えです。