眼瞼下垂の手術を考え始めたとき、多くの方が最初に不安になるのは「術後、どのくらい休まないといけないのか」という点です。
「まぶたが腫れたら仕事に行けないのでは」「人にすぐ気づかれるのでは」と心配されますが、実際には腫れが残っていても普段どおり仕事をされる方は意外と多いです。
理由はシンプルで、まぶたは腫れても“目が開かなくなる”わけではないからです。むしろ手術によってまぶたが上がることで、腫れがあっても以前より目が開いて見えるケースもあります。ご本人は気にしていても、周囲から指摘されないまま過ごせることも少なくありません。
もちろん回復には個人差があります。手術の方法、皮膚の厚み、内出血の出やすさ、左右差のもともとの癖、仕事の内容などで変わります。ここでは「多くの方が困らずに生活を再開できる目安」を、仕事・運転・入浴・運動に分けてまとめます。
まず知っておきたい回復の考え方
術後の生活復帰は、「腫れがゼロになる日」を基準にするとつらくなりがちです。腫れは誰にでも出ますし、完全に引くまでには数週間〜数か月かかることがあります。
大事なのは、次の2点です。
・安全に過ごせるか(視界、痛み、出血のリスク)
・周囲にどの程度見せても問題ないか(仕事や予定の性質)
腫れが少し残っていても、目がきちんと開いて見えているなら、無理をしない範囲で普段の生活はだいたいできます。大事なのは「腫れが完全に引くまで待つ」のではなく、「できることから少しずつ行う」ことです。
仕事はいつから?(デスクワーク/接客/力仕事)
結論から言うと、デスクワーク中心の方は早い人で翌日〜数日で復帰できます。実際には、腫れたまま出勤される方も珍しくありません。まぶたが腫れていても、目が開かないわけではなく、眼瞼下垂が改善して目が楽になった状態で過ごせることもあります。
ただし、仕事の種類でおすすめの休み方は変わります。
・デスクワーク、在宅勤務
目安:翌日〜3日目
パソコン作業は可能ですが、術後は目の乾きやすさ、疲れやすさが出ることがあります。長時間の画面作業は、途中で休憩を入れると楽です。
・接客業、人前に出る仕事
目安:3日目〜1週間(大事な予定は1〜2週間ずらすと安心)
腫れはメイクや眼鏡、マスクで目立ちにくくできますが、内出血が出た場合は黄色〜紫っぽく見えることがあります。内出血が出るかどうかは体質によるため、絶対に隠せる保証はできません。
「絶対に気づかれたくない日」がある方は、1〜2週間の余裕を見ておくと安心です。
・力仕事、下を向く作業が多い仕事(介護、現場作業、重量物など)
目安:1週間程度
血圧が上がる動作、前かがみ姿勢、重い物を持つ動きは、腫れや内出血が長引く原因になります。最低でも最初の1週間は無理をしないことが大切です。
よくある実感としては、術前は「腫れて仕事にならないのでは」と心配していたのに、実際は「意外と普通に過ごせた」「周囲に言われなかった」という声が多いです。一方で、内出血が出た場合は気持ち的に不安になりやすいので、予定が詰まっている時期は避けるのが無難です。
運転はいつから?
運転は「日数」より「視界の安定」が基準になります。目安としては3日目以降、目がしっかり開いて視界が確保でき、痛みや違和感が強くなければ可能な方が多いです。
ただし次の場合は控えてください。
・視界がぼやける、二重に見える
・強い腫れで視野が狭い
・鎮痛薬で眠気が出る
・長距離運転や夜間運転が必要
運転を再開するときは、まず近所の短い距離から始めて、見え方や疲れがないか確認しましょう。不安がある方は、受診時に「運転の許可」を確認してください。
入浴・シャワー・洗顔はいつから?
入浴まわりは、創部(傷口)を清潔に保ちつつ、強く濡らしたりこすったりしないことがポイントです。目安は次のとおりです。
・シャワー
目安:翌日から(当日も首から下なら可とする施設もあります)
顔に強い水圧を当てない、熱いシャワーを避ける、長時間浴びない、を意識してください。
・洗顔
目安:3日目から
やさしく泡で洗い、こすらないことが大切です。タオルで拭くときも押さえるようにします。
・湯船につかる入浴
目安:1週間前後
湯船は体温が上がり、腫れや内出血を悪化させやすいことがあります。術後早期はシャワーで済ませ、落ち着いてから湯船に戻すほうが安心です。サウナ、長風呂、熱いお風呂はさらに腫れが増えやすいので、できれば2週間ほど控えると安全です。
運動はいつから?(散歩/ジム/ゴルフなど)
運動は「汗」「血圧上昇」「衝撃」がポイントです。目安としては、軽い運動は早めに再開でき、強い運動ほど待つ時間が必要になります。
・散歩、軽いストレッチ
目安:翌日〜数日
体調に合わせて問題ありません。
・軽い筋トレ、軽いジョギング
目安:1週間
術後1週間は腫れや内出血が変動しやすい時期です。まずは軽めから始めます。
・強い筋トレ(高重量)、激しい運動、球技など接触のある運動
目安:2〜3週間
血圧が上がる動きや、顔に衝撃が加わる可能性がある運動は回復が落ち着いてからが安心です。
・ゴルフ
目安:1週間前後で可能な方が多い
ただし、日焼け、汗、長時間の屋外活動が負担になることがあります。コンペなど「絶対に休めない日」がある場合は、術後2週間くらい余裕を見ておくと安心です。
生活を楽にするコツ(腫れを長引かせない)
術後の過ごし方で差が出やすいポイントをまとめます。
・術後数日は無理をしない(睡眠不足は腫れを長引かせます)
・最初の数日は枕を高めにして寝る
・目をこすらない、うつ伏せを避ける
・飲酒はできれば数日〜1週間控える(腫れが増えやすい)
・喫煙は傷の治りを悪くするため控える
・処方された点眼や軟膏は指示どおりに使う
受診が必要なサイン
次のような症状があるときは、自己判断せず医療機関に連絡してください。
・急に腫れが強くなる、出血が止まらない
・強い痛みが増してくる
・見え方がおかしい、視力低下を感じる
・発熱、膿、強い赤みなど感染が疑われる
・時間がたっても明らかに悪化している
まとめ:生活復帰の目安
・仕事:デスクワークは翌日〜3日目、人前の仕事は3日目〜1週間、力仕事は1週間が目安
・運転:3日目以降で視界が安定していれば可(眠気の出る薬を飲んでいる日は避ける)
・シャワー:翌日から、洗顔:3日目から、湯船:1週間前後
・運動:軽い運動は翌日〜、しっかりした運動は1週間、強い運動は2〜3週間
術前はどうしても不安が先に立ちますが、眼瞼下垂の手術後は「腫れていても普通に生活できた」と感じる方が多いのも事実です。大切なのは、無理をしない範囲で段階的に戻すことです。具体的な復帰時期は、手術内容や体質で変わるため、最終的には担当医の指示を優先してください。




