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皮膚に角ができる?「皮角(skin horn)」とは
皮膚の表面から“角”のように硬い突起が生えることがあります。医学的には「皮角(ひかく)」、英語では「skin horn」と呼ばれる病変です。見た目は単なる角質の塊に見えることも多いですが、実は皮膚腫瘍や前がん病変と関わっていることがあり、注意が必要です。ここでは皮角の原因や特徴、良性と悪性の違い、治療法、そして経過観察の大切さについて解説します。
皮角(skin horn)とは
皮角は、角質が異常に増殖して皮膚表面から角のように突き出した病変です。大きさは数ミリから数センチまで様々で、色は黄色から褐色を呈し、触れると硬くザラザラしています。発生部位は顔、耳、頭皮、手の甲など日光をよく浴びる部位に多く見られます。
「角」と聞くと一風変わった現象に思えるかもしれませんが、実際には皮膚の変化のひとつであり、その根元に腫瘍性の病変が隠れている場合があるため、軽視はできません。
なぜ皮角ができるのか
皮角は、皮膚の角化(ケラチン形成)が異常に進むことで生じます。背景には次のような原因があります。
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長年の紫外線曝露(顔や手の甲などによくできる)
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加齢による皮膚のターンオーバーの乱れ
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古い傷跡や炎症部位に繰り返し刺激が加わること
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ウイルス性いぼなどの感染
特に高齢者や屋外活動の多い方に生じやすく、男女差はほとんどありません。
良性か悪性か ― 隠れたリスク
皮角そのものは角質の塊ですが、問題はその根元に何があるかです。医学的な報告では、皮角の約2〜3割に前がん病変や悪性腫瘍が関わっているとされています。
良性の原因としては脂漏性角化症(老人性いぼ)、ウイルス性いぼ、良性の皮膚腫瘍などがあります。
一方で、悪性や前がん病変の代表には日光角化症(前がん病変)、有棘細胞がん、基底細胞がんなどが含まれます。
見た目だけで良性か悪性かを判断するのは困難です。そのため、皮角ができた場合は「念のため受診する」という姿勢が大切です。
治療法について
皮角の治療は大きく分けて二つあります。
ひとつは外科的切除です。標準的な方法であり、病変を根元から切除して病理検査に提出します。これにより悪性腫瘍の有無を正確に診断できるため、安全性の面でも信頼できる治療法です。局所麻酔での日帰り手術が可能です。
もうひとつは炭酸ガスレーザーによる除去です。炭酸ガスレーザーは整容的に仕上がるという利点があり、小さな病変や美容面を重視する場合に用いられます。しかし、この方法では病理検査ができないため、悪性の可能性を完全に否定することはできません。そのため当院では、レーザー除去後も経過観察を行い、再発や新たな病変が出ていないかを丁寧にチェックしています。
治療後の経過観察の重要性
皮角は「取って終わり」ではありません。良性であれば問題ないのですが、再発したり、新しい場所にできたりすることがあります。また、悪性腫瘍の可能性が否定できなかった場合には特に、治療後の経過観察が欠かせません。
当院では、炭酸ガスレーザーで除去した場合も含め、定期的な診察を行い、皮膚の状態を確認しています。安心して生活を送っていただくためには、術後のフォローがとても大切です。
放置するとどうなる?
皮角を放置すると次のような問題が起こりえます。
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突起が大きくなって目立ち、整容的な悩みになる
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引っかかって出血や感染を起こす
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もし悪性腫瘍であれば進行してしまう
「角だから放っておいても大丈夫」と思うのが一番危険です。気になる突起は必ず医師に相談してください。
予防とセルフチェック
皮角を予防することは難しいですが、次のような工夫が役立ちます。
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紫外線対策を行う(日焼け止め、帽子、長袖の使用)
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顔や手にできたイボや突起を自己判断で放置しない
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少しでも不安な変化があれば皮膚科や形成外科を早めに受診する
まとめ
皮膚に角のような突起ができる「皮角(skin horn)」は、ただの角質異常に見えても、その下に皮膚腫瘍や前がん病変が隠れていることがあります。治療は切除と病理検査が基本ですが、炭酸ガスレーザーで除去する場合もあり、その場合は経過観察が重要です。
小さな皮膚の変化を軽視せず、早めに医師へ相談することが、最終的には安心につながります。