「赤ちゃんのまつげが目に当たっている気がする」「いつも涙目で、写真を撮ると充血しているように見える」
このように感じて、小児科や眼科・形成外科を受診される保護者の方は少なくありません。

乳幼児に多い逆さまつげは、医学的には「睫毛内反」と呼ばれます。まぶたの皮膚や皮下脂肪がまだ厚くやわらかいため、ふくらんだまぶたに押されて、まつげが一時的に眼球側を向いてしまっている状態です。

成長とともに顔つきやまぶたの形が変化していくことで、まつげの向きが自然に整い、気にならなくなってくることも多くあります。実際に「様子を見ているうちに自然と良くなった」というケースも少なくありません。

そのため、赤ちゃんの逆さまつげについては、

• 角膜に傷がついていないか
• どの程度まつげが当たっているか
• 涙や充血の程度はどうか

といった点を診察で確認したうえで、「自然経過をみてよいか」「治療を考えた方がよいか」を判断していきます。

自然に治らない場合は全身麻酔での手術が必要になることがあります

一方で、赤ちゃんの逆さまつげがすべて自然に治るわけではありません。
まつげが強く角膜に当たり、傷やびらんを繰り返してしまう場合や、年齢が上がっても症状が続いている場合には、手術による治療が必要になることがあります。

乳幼児の手術を安全に行うためには、多くの場合、全身麻酔が必要になります。
大人のように局所麻酔でじっと目を閉じていただくことが難しいため、しっかり眠っていただいた状態で、落ち着いて手術を行う必要があるからです。

全身麻酔による手術は、入院設備や小児麻酔の体制が整った病院（大学病院・市民病院など）で行うのが一般的です。
クリニックレベルでは、全身麻酔での手術には対応していないところがほとんどで、当院でも乳幼児で全身麻酔が必要な場合には、連携している病院にご紹介させていただいております。

クリニックで日帰り手術ができる逆さまつげについて

では、形成外科クリニックではどのような逆さまつげの治療を行っているのでしょうか。

当院で日帰り手術が可能なのは、

• 局所麻酔で落ち着いて手術を受けていただける年齢のお子さま
• 若い世代の睫毛内反や睫毛乱生の方
• 加齢による老人性眼瞼内反（高齢者の逆さまつげ）の方

といった、いわゆる「大人の逆さまつげ」にあたる患者さまです。

局所麻酔でまぶたの周囲だけをしっかりと麻酔し、まぶたの皮膚や筋肉のバランスを整えることで、まつげが眼球に当たらない位置へ戻していきます。
手術時間は片側でおおよそ30分前後で、日帰りでご帰宅いただくことができます。

大人や高齢者の逆さまつげは、生活の質を大きく下げてしまいます

赤ちゃんの逆さまつげには「自然に良くなる可能性」がありますが、大人や高齢者の逆さまつげは、そのまま我慢していても自然に治ることはほとんどありません。

特に高齢者に多い「老人性眼瞼内反」では、

• テレビや新聞がかすんで見えるようになった
• まぶしくて外出がおっくうになってきた
• 車の運転が怖く感じるようになった

といった症状がみられることがあり、生活の質（QOL）に大きな影響を与えてしまいます。

まつげが角膜に当たり続けることで、慢性的な角膜炎や結膜炎を起こし、視力低下につながってしまうこともあります。
「そのうち良くなるだろう」と我慢を続けてしまうのではなく、適切なタイミングで根本的な治療を受けていただくことが大切です。

赤ちゃんは慌てすぎず、大人は我慢しすぎないことが大切です

赤ちゃんの逆さまつげについては、「自然に治ることが多い」という側面と、「一部は全身麻酔での手術が必要になる」という側面の両方があります。

保護者の方には、

• まずは眼科で角膜の状態をチェックしてもらうこと
• 経過観察でよいタイプか、治療が必要なタイプか、医師の説明を受けること
• 全身麻酔での手術が必要な場合は、設備の整った病院を紹介してもらうこと

といったステップを踏んでいただくと、安心して経過をみていくことができます。

一方で、大人や高齢者の逆さまつげは、「そのうち慣れるだろう」と様子を見ているうちに、知らないあいだに角膜障害が進行していることもあります。
局所麻酔による日帰り手術で改善できるケースが多いため、
「最近まぶたがゴロゴロする」「涙目や充血が続いている」といった症状がある方は、一度ご相談いただければと思います。

新潟市にあるやまもと形成外科クリニックでは、形成外科専門医が、乳幼児から大人・高齢者まで、まぶたやまつげのお悩みについて診察を行っています。
赤ちゃんの逆さまつげがご心配な保護者の方も、大人の逆さまつげでお困りの方も、まずは現在の状態を確認するところから一緒に考えてまいりましょう。

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