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「医師ではないカウンセラー」が術式決めていく不思議
『医師ではないカウンセラー』が術式を決めていく不思議
二重埋没法をはじめとした美容外科では、
「最初に会うのは医師ではなく、カウンセラー」というクリニックが増えています。
カウンセリングルームに通されると、白衣ではなくスーツ姿のスタッフが現れ、
タブレットや資料を見せながら、こう話を進めていく
「◯点留めだとこのくらいのお値段です」
「こちらのプレミアム法ですと、持ちがよくて保証も付きます」
一見すると親切な説明ですが、よく聞いていると、
「医師がまだまぶたを触ってもいないのに、術式と金額がほぼ決まりつつある」
ということが少なくありません。
ここで問題になるのは、カウンセラーは医師ではなく、実際に手術をしないということです。
それにもかかわらず、患者さんのまぶたを見ながら
「あなたは◯点留めが合います」「プレミアム法が向いています」
と術式を選んでしまう構造そのものに無理があります。
本来、術式や固定点の数を決めるのは、まぶたを診察した医師であるべきです。
手術をしない人が「1点法・2点法・◯◯法」を決められるのか
二重埋没法ひとつをとっても、
・まぶたの厚み
・脂肪の量
・蒙古ひだの強さ
・眼瞼下垂の有無
・左右差
こうした要素を診ながら、
「どこに、何点、どのように糸を掛けるか」を決めていきます。
これは、手術の経験がある医師でなければ判断しづらい部分です。
単に「止める数が多いほど取れにくい」「高いメニューほど持ちが良い」といった、
パンフレット的な説明だけでは済まない世界です。
にもかかわらず、
実際にメスも針も持たないカウンセラーが、患者さんのまぶたを診たつもりになり、
「このまぶたなら2点法より3点法の方が安心です」
「スタンダードよりプレミアムの方がきれいに仕上がります」
と、あたかも医学的判断であるかのように話を進めてしまう。
ここに、「手術をしない人に、術式を決める権限を持たせている」という根本的な矛盾があります。
なぜ高いメニューばかり勧められるのか ― インセンティブの問題
もう一つの構造的な問題は、カウンセラーに「成約インセンティブ」が設定されているケースです。
・高額メニューを契約できたら歩合がつく
・1件あたりの売上が成績評価に直結する
こうした仕組みがあると、カウンセラーにとっての成功は
「患者さんにとってベストな治療を一緒に考えること」ではなく、
「できるだけ高いメニューを契約してもらうこと」
にすり替わりやすくなります。
患者さんが
「本当は一番安いプランで良いと思っているけれど、なんとなく不安」
という気持ちで相談したとき、
インセンティブを持つカウンセラーにとっては、
「それならワンランク上のプランの方が安心ですよ」と背中を押す方が得になります。
患者さんのため、というより、自分の評価や歩合のために高額メニューを勧めざるを得ない構造となっています。
カウンセラー個人が「悪い人」なのではなく、そうせざるを得ない仕組みになっているところに問題があります。
「患者さんの希望」ではなく「売上目標」から逆算されてしまう危険
本来、カウンセリングで聞き取るべきなのは、
・どのくらいの変化を望んでいるのか
・どんな場面で気になっているのか
・ダウンタイムにどの程度の余裕があるのか
・費用面はどこまで無理なく出せるのか
といった、患者さんの希望と要望です。
ところが、売上インセンティブが強く働く環境では、
「どうすればこの方に一番高いメニューを選んでもらえるか」
という発想に偏りやすくなります。結果として、
・まぶたの条件に対して、明らかにやりすぎの幅を提案する
・本来はスタンダードで十分なケースでも、保証付きの高いプランしか説明しない
・医師の診察前に、ほぼ金額と術式を決めてしまう
といった状況が生まれてしまいます。
患者さんは「プロがそう言うなら…」と受け取りますが、実際には医療的判断ではなく、
営業目線が強く入った提案であることも少なくありません。
本来、カウンセラーは「いてもいなくても良い職種」のはず
誤解を恐れずに言えば、美容外科において、カウンセラーという職種は本来「いてもいなくても良い立場」です。
・予約の調整
・当日の流れや注意点の説明
・費用や支払い方法の案内
・不安な気持ちを聞く、気持ちの整理を手伝う
こうした役割に徹するのであれば、カウンセラーは患者さんにとって心強い存在になり得ます。
しかし、
・術式の決定権
・メニュー選択の主導権
・売上インセンティブ
まで持たせてしまうと、
「医師でもない人が、医療行為の内容を事実上決めている」
という歪んだ構図になります。
私自身は、術式の選択や、「そもそも手術をするかどうか」という根本的なことは、
医師の診察の中で決めていくのが正当だと考えています。
理想的な流れは「まずは医師と診察しながら決める」こと
理想に近いカウンセリングの流れは、次のような形です。
-
まず医師が診察し、まぶたの状態を診るできること・難しいこと、いくつかの選択肢を医師が説明する
-
そこで大まかな方針(埋没か切開か、どのくらいの変化を目指すか)を決める
-
その後、必要であればカウンセラーが費用面・スケジュール面を一緒に整理する
この流れであれば、術式の医学的判断はあくまで医師が担い、
カウンセラーは「患者さんが納得して決められるように支える役」に徹することができます。
カウンセラーがまったく要らない、というわけではありません。
問題なのは、「医師の領域までカウンセラーに任せてしまっていること」です。
患者さん側ができる自衛策
では、患者さん側は何に注意すれば良いのでしょうか。いくつか、現場からの目線で挙げてみます。
・カウンセリングで「医師の診察前にメニューが決まりそう」になったら、一度立ち止まる
・「今日中に契約すれば安くなります」という言葉には、すぐ乗らない
・医師との診察時間が極端に短く、質問する余地がないと感じたら、その日は契約しない
・必要なら、他院でセカンドオピニオンを受ける
そして、カウンセリングの場で
「先生ご自身は、私のまぶたに対してどのプランが一番現実的だと思いますか?」
と、医師本人に質問してみてください。
その答え方で、「売上」ではなく「医療」の目線で話しているかどうかは、ある程度見えてきます。
まとめ:カウンセラーが悪いのではなく、「仕組み」の問題
繰り返しになりますが、カウンセラーという職種そのものを否定したいわけではありません。
問題なのは、
・医師ではない人が術式やメニューを事実上決めていること
・売上インセンティブが強く働き、患者さんよりも「契約」の方に重心が傾いてしまうこと
という「仕組み」です。
本来、二重埋没法を含む美容医療は、患者さんと医師が向き合いながら、
「その人の生活や価値観に合った選択肢」を一緒に考えていくものです。
もし、これから二重手術を考えている方がいたら、ぜひ
「誰が私のまぶたを診て、誰が術式を決めているのか」
という視点を持ってカウンセリングに臨んでみてください。
その一歩が、「後悔しない二重手術」に近づくための、とても大切なポイントになると感じています。
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