ブログBlog
気になるお悩みや最新治療について、ぜひ参考になさってください。
皮膚線維腫(Dermatofibroma)とは ― 最近増えている“かたいしこり”の正体
皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)は、皮膚の下にできる良性のしこり(腫瘤)です。見た目は小さくても硬く、押すと少しへこむように感じられるのが特徴です。
最近では、SNSや美容意識の高まりにより「皮膚のしこりに気づいて受診する方」が増えています。
どんな人に多い?
皮膚線維腫は20〜50代の女性に比較的多く見られます。特に下腿(ふくらはぎ)や腕にできやすく、虫刺されや小さな傷のあとにできることもあります。
体質的な傾向もあり、「何かにぶつけてできたと思ったが、いつまでも治らない」というケースで気づく方が多いです。
主な特徴
- 
直径:5mm〜10mm前後(稀に2cm以上のものも)
 - 
触感:かたく、動かすと皮膚が少しへこむように見える(“dimple sign”)
 - 
色調:茶色〜黒っぽい、または皮膚色
 - 
痛み:通常は痛みなし。ただし衣服との摩擦で痛むことも
 
この「へこみ現象(dimple sign)」は、診察時の重要な所見のひとつです。
左大腿にある皮膚線維腫
原因は?
正確な原因は不明ですが、皮膚の線維芽細胞が過剰に増殖することが関係しています。
虫刺されや軽い外傷、毛抜きなどの慢性的な刺激がきっかけになることがあります。
皮膚線維腫と間違えやすい病気
一見似た見た目でも、別の疾患であることもあります。
| 鑑別疾患 | 特徴 | 
|---|---|
| 悪性黒色腫(メラノーマ) | 急に大きくなる、色が濃く不均一、出血する | 
| 皮膚線維肉腫 | 境界不明瞭で、硬く深部に広がる | 
| 基底細胞癌 | 表面がただれる、光沢がある | 
| 血管腫・粉瘤 | やわらかく、青っぽい・白っぽいことが多い | 
見た目だけでの判断は難しく、医師による診断が不可欠です。
診断方法
- 
視診・触診
表面の色・硬さ・陥凹の有無などを確認します。 - 
ダーモスコピー検査
特殊な拡大鏡で、血管の形や色調パターンを確認。 - 
病理組織検査(生検)
確定診断のために、一部または全体を切除して顕微鏡で調べます。 
最近では「悪性ではないか心配で受診する」方が増えており、当院でも相談が多い疾患のひとつです。
治療方法
皮膚線維腫は良性腫瘍なので、放置しても命に関わることはありません。
ただし、以下のような場合は切除手術をおすすめします。
- 
見た目が気になる
 - 
衣服やカミソリでこすれて痛む
 - 
大きくなってきた
 - 
悪性の可能性を否定できない
 
切除は局所麻酔で行い、約10〜15分程度。
摘出後は縫合し、1週間後に抜糸します。
再発はほとんどありません。
放置しても大丈夫?
自然に消えることはほとんどありません。
小さいうちは問題なくても、数年かけて少しずつ硬く・濃くなることがあります。
また、悪性腫瘍(特に皮膚線維肉腫など)との見分けが難しいケースもあるため、早めの受診が安心です。
当院での対応
当院では、形成外科専門医がダーモスコピー・病理検査を組み合わせた診断を行い、必要に応じて局所麻酔下での完全切除を行っています。
小さなしこりでもお気軽にご相談ください。
「長年あるしこり」「昔刺された跡が固くなっている」なども、皮膚線維腫の可能性があります。
まとめ
- 
皮膚線維腫は良性のしこりで、特に女性に多い
 - 
虫刺されや刺激がきっかけになることがある
 - 
見た目が似ている悪性腫瘍もあるため、自己判断は禁物
 - 
気になる場合は形成外科で相談を
 




