この記事では、患者さんから実際によくいただく質問をまとめ、形成外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
① 形成外科と皮膚科、どちらを受診すべき?
皮膚科は皮膚の病気を内服薬や塗り薬で治療するのが得意です。一方で粉瘤は袋ごと切除しないと再発する可能性が高いため、外科的手技に慣れている形成外科での手術がおすすめです。
② 粉瘤は痛くなりますか?
炎症や感染が起こると、腫れや痛みを伴います。抗生物質で炎症を抑えることはできますが、強い炎症の場合は切開・排膿が必要になります。症状がないうちの摘出が望ましいです。
③ 粉瘤は自然に治りますか?
残念ながら自然治癒はしません。時間とともに大きくなったり炎症を繰りかえしたりするために、早めの手術が推奨されます。
④ 粉瘤は再発しますか?
袋(嚢胞)を完全に取り除けば再発はしません。ただし、炎症を繰り返している粉瘤では、組織が周囲に広がっていて取り切れない場合があり、まれに再発します。
⑤ 手術はどれくらいの時間で終わる?
通常は10〜30分程度です。大きさや炎症の有無によって前後します。
⑥ 保険は使えますか?
粉瘤摘出術は健康保険の対象です。自費診療ではなく、通常の保険診療として受けられます。
⑦ 手術の痛みはありますか?
局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。術後は軽度の痛みや違和感がありますが、鎮痛薬でコントロール可能です。
⑧ 手術後に傷跡は残りますか?
手術ですので全く痕が残らないわけではありませんが、形成外科では縫合方法に工夫をし、目立ちにくく仕上げます。数ヶ月〜1年ほどで赤みは落ち着きます。
⑨ 手術後はいつから入浴・仕事ができますか?
当日は入浴・シャワーを避け、翌日からシャワーが可能です。
お仕事はデスクワークであれば翌日から復帰可能ですが、力仕事や激しい運動は抜糸まで控えた方が良いです。
⑩ 粉瘤を自分でつぶしても良い?
ニキビに似ているため潰したくなる方もいますが、潰すと炎症や傷あとを悪化させる原因になります。自己処置は避けて、医療機関を受診してください。
⑪ 他の腫瘍(ニキビや脂肪腫)とどう違う?
粉瘤は皮膚の下に袋ができる病気で、ニキビや脂肪腫とは異なります。脂肪腫は脂肪組織の良性腫瘍で柔らかいしこりですが、粉瘤は独特の臭いのある内容物がたまる点で特徴的です。
⑫ 子どもや高齢者でも手術できますか?
年齢に関わらず手術は可能です。お子さんやご高齢の方の場合は体力や持病に配慮して行います。
まとめ
粉瘤は良性の皮膚腫瘍ですが、放置すると炎症や感染を繰り返すことがあります。
自然には治らないため、早めに形成外科での摘出手術を検討することが大切です。
不安や疑問があれば、専門医に相談してください。