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粉瘤が赤く腫れて痛いときの対処法――当日の切開排膿と、その後の根治まで
「昨日から赤く腫れてズキズキ痛む」「触れただけで飛び上がる」――粉瘤(ふんりゅう/表皮嚢腫)の炎症期は、生活に支障が出るほどつらいことがあります。
赤く腫れて痛いときはすぐに受診してください。
実際の診療では、皮膚科で抗菌薬や消炎鎮痛薬の内服でいったん経過を見ることもありますが、私はその日のうちに切開排膿(I&D)を行い、内服で痛みと炎症を抑える方針を基本にしています。腫れと圧(内圧)を早く下げた方が、痛みも生活の質もぐっと改善するからです。そのうえで炎症が落ち着いた時期に、袋ごと摘出して再発を断つ これが治療方針です。
痛みが強い=受診を先延ばしにしない
粉瘤の痛みは、袋の中にある内容物(角質や皮脂)が細菌の影響で分解され、内圧が上がることが大きな原因です。内圧が高いほど痛みも増します。抗菌薬だけでは内圧はすぐには下がりません。**出口を作って圧を逃がす(切開排膿)**のが、痛みを短時間で和らげる最も確実な方法です。
なぜ腫れて痛むのか(しくみ)
袋の壁が破れたり、袋の入口が詰まって内容物がたまったりすると、周囲で炎症反応が起こります。血流が増え、浮腫が強くなり、赤み・熱感・腫れ・拍動痛が出現。内圧が高まり、皮膚を突き上げるような痛みに変わります。この段階では、外から押すほど悪化しやすいので要注意です。
自宅で“していいこと/ダメなこと”
すぐに受診されることgあいいのですが、できない方が多いです。その場合 ご自分で
・していいこと:清潔を保つ(やさしく洗う)、乾いたガーゼで被覆、必要に応じて市販の鎮痛薬(持病やアレルギーのない方)。
・ダメなこと:強く押し出す/針で刺す/長時間温め続ける/香料でごまかす。袋が破れて内容物が広がり、炎症や感染が悪化します。
を守ってください。
皮膚科の初期対応と、私(形成外科)の方針
臨床では、皮膚科で内服のみで経過観察となることが少なくありません。軽い炎症なら意味がありますが、激しい痛み・腫れ・膿があれば、私は当日の切開排膿+内服を推奨します。理由はシンプルで、
1)圧を抜けば痛みが速く下がる、
2)感染を拡大させにくい、
3)炎症が引けば安全に袋ごと摘出でき、再発を断てる、
からです。
※もちろん患者さんの全身状態(糖尿病、抗凝固療法、免疫抑制など)により手順を調整します。
当日の切開排膿はこう進みます
1)診察で部位・大きさ・膿のたまり具合を確認。必要ならエコーで内部の状態をチェック。
2)局所麻酔(細い針で注射)。刺すときに少し痛みますが、数十秒で効きます。
3)数ミリ〜1センチ程度の小切開を置き、内部の膿と古い内容物を排出。においが強いことがあります。
4)内部をやさしく洗浄し、必要に応じてガーゼや小ドレーンで圧を減らす。
5)抗菌薬・鎮痛薬を処方。創は開放創として管理することが多く、自然に縮んでいきます。
処置時間は10〜20分前後。終わる頃には“あの破裂しそうな圧”がスッと軽くなる方が多いです。
【排膿後のセルフケア(翌日からの過ごし方)】
・シャワーでやさしく洗い流し、清潔なガーゼに交換(1日1〜2回)。
・強い運動や圧迫、こすれは数日控える。
・痛みは鎮痛薬でコントロール可能なことがほとんど。
・においや滲出が続く間は、通気性の良い衣類を。
・発熱・腫れの増悪・強い悪臭が続く場合は早めに再診。
【“根治”へ:炎症が落ち着いたら袋ごと摘出】
排膿で痛みと腫れを落としたら、1〜数週間かけて炎症を鎮め、袋(嚢胞壁)を確実に摘出します。炎症の最中に無理に袋を取ろうとすると、袋が破れて取り残しやすく、再発リスクや創部トラブルが増えます。
摘出術は局所麻酔の日帰りで、多くは20〜30分程度。皮膚のしわ(皮膚割線)に沿ってデザインし、嚢胞壁を破らないように丁寧に剥離して全周を確認、真皮内縫合と細糸で仕上げます。顔や首など目立つ部位は、縫合ライン・糸の選択・術後テーピングや紫外線対策まで含めて傷あとに配慮します。
【よくある質問(炎症期)】
Q. 内服だけではダメですか?
A. 軽度なら有効ですが、強い痛みや膿があるなら圧を逃がす処置が有利です。内服のみだと改善に時間がかかり、再燃も起こりやすい印象です。
Q. 切開は怖いです。傷は残りますか?
A. 切開は必要最小限の長さで、排膿目的の小切開です。炎症でパンパンに張っている痛みに比べ、処置後の解放感を実感される方が多いです。瘢痕は時間とともに目立ちにくくなります。
Q. 1回で“全部取れ”ませんか?
A. 炎症最中は袋が脆く破れやすいので、2段階(排膿→後日摘出)が安全かつ確実。結果的に傷跡も小さく、再発も減らせます。
Q. においが恥ずかしい…
A. 医療現場では珍しくありません。誰も責めません。においは病状のサイン。遠慮なく相談してください。
【受診の目安:こんな時はすぐ】
・赤み・腫れ・強い痛み・熱感がある/広がっている
・膿がにじむ・臭いが強い、衣類に付く
・急に大きくなった、触ると極端に痛い
・発熱や倦怠感を伴う(感染が広い可能性)
・糖尿病、免疫抑制、抗凝固療法、妊娠中などリスク因子がある
【費用と保険の考え方(概要)】
切開排膿・後日の摘出は、多くが保険適用です。大きさ・部位・通院回数・病理検査の有無で費用は変動するため、診察時に個別にご案内します。病理検査は確定診断と別疾患の除外に役立ち、安心材料にもなります。
【まとめ:痛みは“圧”のサイン。出口を作って、根治へ】
粉瘤が赤く腫れて痛いとき、自然には良くなりにくいのが現実です。私は、当日の切開排膿+内服で痛みと炎症を素早く落とし、落ち着いたら袋ごと摘出する二段階を基本にしています。その方がつらい時間が短く、再発もしにくいからです。「とりあえず薬で…」で長引かせるより、早めに圧を抜いてラクになる――これが炎症期の最短ルートです。思い当たる症状があれば、先延ばしにせずご相談ください。
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