二重埋没法を検討している方から、よく聞かれる質問があります。
「先生、何点留めが一番いいんですか?」
ホームページを見ると、
「1点留め 5万円」「2点留め 10万円」「3点留め 15万円」
といった料金表が並び、カウンセリングでは
「もう1点増やした方が取れにくいですよ」
と勧められる場面も少なくありません。
一見すると、
「止める数が多いほどしっかりしていて、高いメニューほど良い」
ように見えますが、実際の現場はもう少し複雑です。
ここでは、
・止める数が増えると本当に良い二重になるのか
・なぜ「止める数増える」と料金が上がる仕組みが多いのか
・若い医師でもすぐ覚えられる手技であることの意味
を、美容外科の裏側も含めて正直に書いてみます。
「何点留め」ってそもそも何をしているのか
二重埋没法の「〇点留め」は、
「片目に何カ所、糸でまぶたを固定するか」
を指します。
イメージとしては、上まぶたの二重ラインに沿って
・2点留めなら、両端の2カ所
・3点留めなら、内側・中央・外側の3カ所
・4点留めなら、もう少し細かく4カ所
に、小さなボタンのように糸の固定点を作るイメージです。
止める数が増えるほど、糸で支えている範囲は広がりますが、
だからといって「そのまま=きれいで長持ち」とは限りません。
止める数が多ければ安心、という単純な話ではない
二重の仕上がりを左右する要素は、止める数だけではありません。
・二重ラインの位置(どのくらいの幅にするか)
・まぶたの皮膚の厚みや脂肪の量
・目の開き具合(眼瞼下垂がないか)
・蒙古ひだの強さや目頭の形
・左右の癖や、もともとの奥二重の有無
こういった条件を無視して「とにかく止める数を増やせば安心です」と言ってしまうのは、少し乱暴です。
例えば、皮膚が厚くて脂肪も多いまぶたに、
高すぎるラインで4点留めをするとどうなるか。
・ラインが不自然に食い込みすぎる
・笑ったときに線だけが浮いて見える
・まぶたが重く感じる
といった「しっかり付いているけれど、きれいとは言い難い」二重になることもあります。
逆に、もともと薄いまぶたで、もともと浅い二重があるような方なら、
2点留めでも「自然で持ちの良い二重」が作れることがあります。
つまり、
「止める数が多いかどうか」よりも
「その人のまぶたに合ったラインと固定の仕方になっているか」
の方が、はるかに重要です。
料金表と「止める数」のからくり
美容外科の料金表を見ると、
「1点留め◯円」と安めに表示し、
実際のカウンセリングでは
・1点だと取れやすいので、2点にしましょう
・3点にすると、より取れにくくて安心ですよ
と、上位メニューに誘導していく料金体系がよく見られます。
1点留め 5万円
2点留め 10万円
3点留め 15万円
といった形です。
この仕組み自体がすべて悪いわけではありません。
固定点が増えれば、それだけ糸の本数も増え、
手術時間も多少長くなりますから、
費用に差があること自体は理解できます。
問題なのは、
「止める数が増えたら必ず理想の二重に近づく」
「高いプランの方が絶対に優れている」
という印象だけが前に出てしまうことです。
冷静に言えば、
・止める数を増やしてもデザインが悪ければ仕上がりはよくない
・止める数を増やしても、まぶたの条件によっては持ちが変わらないこともある
・止める数が増えるほど、腫れや内出血のリスクもゼロではない
という「限界」も確かに存在します。
若い医師でもすぐ覚えられるという現実
埋没法のなかでも、点留めの方法は構造がシンプルで、
若い先生でも比較的早く覚えやすい手技です。
まぶたの構造の理解はもちろん必要ですが、
手順そのものは
・ラインを決める
・糸を通す点を決める
・決まった順番で針を通し、糸を結ぶ
と、手順がパターン化しやすい側面があります。
クリニックの立場から見ると、
・短期間で若い医師に教えやすい
・ある程度パターン化されたメニューとして売り出しやすい
というメリットもあります。
その結果、どうしても
「止める数でメニューを分けて、料金も分ける」
「若い先生でも、決められた止める数どおりに糸をかけていけば手術として成立する」
という構図になりやすいのです。
もちろん、真面目に丁寧にやっている若い先生もたくさんいます。
ただ、「止める数だけが一人歩きしている料金表」を見たとき、
患者さん側が少し冷静な目を持っておくと安心だと思います。
では、何点留めをどう考えればいいのか
患者さん側からすると、
「じゃあ結局、何点留めがいいの?」
という疑問に戻ってしまうかもしれません。
現場での感覚を正直に書くと、
・何点が「正解」かは、その人のまぶたとデザイン次第
・止める数は「手段」であって、「目的」ではない
というのが本音です。
診察のときに確認してほしいポイントは、
止める数そのものよりも、むしろ次のような点です。
・自分のまぶたの厚みや脂肪量について、医師がきちんと説明してくれるか
・希望しているラインの高さが、自分のまぶたにとって現実的か
・なぜこの止める数なのか、その理由が具体的に説明されるか
・「止める数を増やせば絶対に大丈夫」という言い方をしていないか
止める数の話が先に出て、
「2点より3点の方が安心ですよ」「4点にするともっと取れにくいです」
だけで終わってしまうようなら、
少し慎重になってもいいかもしれません。
一方で、
「あなたのまぶたの厚みだと、このラインで2〜3点あれば十分です」
「この条件だと、止める数よりもラインの位置の方が大事です」
「将来の修正のしやすさを考えると、このくらいの固定が現実的です」
という説明があれば、
止める数の話も「デザインの一部」として受け取りやすくなると思います。
理想の二重は「止める数」ではなく「デザインと対話」で決まる
まとめると、
・1点/2点/3点/4点という止める数はあくまで手段
・高いメニュー=必ず理想の二重、ではない
・若い医師でも覚えやすい手技だからこそ、設計と説明の丁寧さが重要
・自分のまぶたの条件とラインの現実性を、きちんと説明してくれる医師を選ぶ
ということになります。
「何点留めが良いか」を一言で答えることはできませんが、
少なくとも「止める数が多い=必ず勝ち」という単純な話ではありません。
もしカウンセリングで迷ったら、
「なぜその止める数なのか」「止める数を増やしても変わらない限界はあるのか」
を、遠慮なく聞いてみてください。
その質問に、きちんと向き合って説明してくれるかどうかが、
実は「自分に合った埋没法かどうか」を見分ける一つのサインになると思います。
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