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気になるお悩みや最新治療について、ぜひ参考になさってください。
授乳トラブルを防ぐために。陥没乳頭を妊娠前に相談してほしい理由
「いつか治したいけれど、今はまだ急がなくていいかな」 「妊娠してから先生に相談すれば大丈夫だろう」
陥没乳頭にお悩みの方から、このようなお声をいただくことがあります。
しかし、形成外科専門医として、そして日々多くの患者様と向き合う医師としてお伝えしたいのは、「もし治療を検討されているのであれば、ぜひ妊娠前の段階で相談してほしい」ということです。
なぜ、妊娠・出産を経験する前の治療がそれほどまでに大切なのか。
そこには、医学的なリスク管理と、お母さんの心の健康を守るための明確な理由があります。
1. 授乳期に最も怖い「乳腺炎」のリスクを回避する
陥没乳頭の状態のまま授乳をスタートすると、最も懸念されるのが「乳腺炎」です。
乳頭が内側に引き込まれていると、その隙間に汚れ(皮脂や母乳の残り)が溜まりやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境になります。そこへ授乳による刺激が加わると、乳管を通して細菌が逆流し、乳腺が激しく腫れ上がる「乳腺炎」を引き起こすリスクが高まります。
乳腺炎になると、胸の激痛だけでなく、40度近い高熱や全身の倦怠感に襲われます。慣れない育児の中でこのような体調不良に陥ることは、お母さんにとって非常に大きな負担です。妊娠前に治療を済ませておくことは、「将来の自分の健康を守るための、大切なリスク管理」といえます。
2. 赤ちゃんが「母乳を飲みやすい」環境を作る
生まれたばかりの赤ちゃんにとって、授乳は生きるために大切です。しかし、陥没乳頭の場合、赤ちゃんが乳頭をうまくくわえることができず、吸い付くのに苦労してしまうことが少なくありません。
当院で行っている手術は、「乳管(母乳の通り道)」を傷つけないように温存する手法を第一に選択します。妊娠前の落ち着いた時期に、乳頭を正しい位置へ整えておくことで、産後のスムーズな授乳スタートを助け、育児の不安を一つ減らすことができるのです。
3. 「妊娠してから」では遅い理由
意外と知られていないのが、「妊娠が分かった後では、手術を受けることができない」という事実です。
妊娠中は、局所麻酔の使用や術後の処方薬(抗生剤や痛み止め)が胎児に影響を与える可能性があるため、多くの医療機関で手術は行われません。また、妊娠によるホルモンバランスの変化で乳腺が発達し、胸が張ってくるため、手術自体の難易度も上がってしまいます。
「いざ授乳が始まってから困った」となっても、その時はもう手術という選択肢は取れず、痛みや不便さを我慢しながら育児を続けることになってしまいます。
治療後の経過をゆっくり見守ることができる「妊娠前」という期間は、将来のトラブルを未然に防ぐための、実質的に唯一の期間といえます。
4. 専門医としてのこだわり:機能と見た目の調和
当院では形成外科専門医が、将来の授乳機能を守ることを第一に考え、繊細な技術を用いて治療を行います。
単に形を整えることだけが目的ではありません。乳管を最大限に温存する術式を選択し、機能の回復を最優先に、丁寧な手術を進めていきます。
将来のトラブルを未然に防ぐために
陥没乳頭の治療は、単に今現在の悩みを解消するだけのものではありません。将来の授乳トラブルや乳腺炎といったリスクを、あらかじめ軽減しておくためのものです
妊娠・出産という大きな変化が訪れる前に、ご自身の体の機能について専門医と確認しておくことは、授乳時の負担をあらかじめ減らすことにつながります。
当院で、まずは現状の相談から始めてみませんか。
陥没乳頭の治療を検討中の方へ
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