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コンタクト歴が長い人へ:瞼が下がるのは眼瞼下垂かも。受診で確認できること
眼瞼下垂は、視力そのものが落ちる病気ではなく、瞼を上げる筋肉(眼瞼挙筋)の働きが弱くなることで、視界の上が隠れて見えにくくなり、夕方に瞼が重くなります。
額に力が入りやすく、肩こりや頭痛、目の疲れにつながることがあります。
私は形成外科医として診療に携わる一方で、30年以上ハードコンタクトレンズを使い続け、実際に眼瞼下垂手術を受けた経験があります。その経験から、ハードコンタクトの長期使用が眼瞼下垂の一因になることは、決して珍しくないと感じています。
コンタクト歴が長い人が感じる最初の違和感 〜「疲れ」だと思っていたそのサインは
もし以下の項目に心当たりがあるなら、それは「まぶたの筋力低下」を他の場所でカバーしている証拠かもしれません。
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「眠そうだね」と言われることが増えた 自分では普通に開けているつもりなのに、写真に写る自分の目がとろんとして見える。
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夕方になると、異常に肩が凝る・頭が重い 下がってくるまぶたを一生懸命に引き上げようとして、おでこや頭の横の筋肉を使い続けているためです。
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おでこのシワが深くなり、眉毛の位置が高い まぶたの力だけで目を開けられず、眉毛をグッと持ち上げるクセがついている状態です。
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アゴを突き出すような姿勢(顎挙上)になる まぶたが視界を遮るため、首を後ろに反らして、隙間から下を覗き込むようにして物を見るようになります。
なぜコンタクト(特にハード)で眼瞼下垂が進むのか
ハードコンタクトレンズは、ソフトレンズに比べて硬さと厚みがあります。瞬きをするたびに、レンズの縁が瞼の裏側から挙筋腱膜(筋肉を支える膜)に触れ、長年の使用で少しずつ負担が蓄積します。これが腱膜性眼瞼下垂と呼ばれる状態につながります。
ただし、「ハードじゃなければ安心」というほど単純な話でもありません。ソフトレンズでも、脱着の際に瞼を強く引っ張る癖がある、目の慢性的な炎症が続く、花粉症などで目をこする習慣がある、という場合は、レンズの種類に関係なく瞼への負担が積み重なります。
眼科で「まだ大丈夫」と言われる背景
ネット情報で誤解が広がると、「眼科の説明が間違っていたのでは?」と感じてしまう患者さんがいます。けれども、眼科の診療は「眼球の病気の検査と治療」が中心です。そのため、視力や角膜・網膜・水晶体の検査で異常がなければ、「検査上は問題ありません」「まだ大丈夫ですね」「様子を見ましょう」といった言葉になります。
これは誰かの配慮不足ではなく、確認している点の違いから生まれるすれ違いです。
一方で形成外科の診察では、瞼の位置や筋肉の働きが、視界や生活にどれくらい影響しているかを診察で確認し、治療が必要か、必要ならどの方法が合うか、回復の見通しはどれくらいか、という順番で整理しながら説明します。
受診=手術ではないという安心の重要性
多くの患者さんが心配しているのは、受診したら手術を受けなければならないのでは、保険が使えるのか、自由診療に誘導されるのでは、ということです。
ここで大切なのは、受診は「手術を決める場」ではなく、「今の状態を確認し、どうするかを整理する場」であるということです。
確認した結果、「いまは様子を見てもいい」「治療が必要だけれど内容は後で考えてもいい」「必要な治療の範囲だけ検討できる」と分かるだけで、不安はかなり減ります。
ダウンタイム(回復の途中)の考え方
術後すぐは腫れやつっぱり感があり、日常生活がいつもよりしんどく感じることがあります。これは異常ではなく、回復に向かう途中の状態です。
瞼は皮膚が薄く血流が豊富なため、他の部位より腫れやすく、術直後は腫れが気になり、それが負担として実感されやすくなります。
しかし、時間とともに必ず落ち着きます。。腫れのピークを越えたら、日ごとに改善していきます。
術式選択の理由と、生活復帰の見通し
形成外科では、術式を「筋肉の働きの改善」「視界の確保」「左右差の調整」「仕上がりの自然さ」のバランスで選びます。
二重のラインは「結果として変わることはある」ですが、それは手術の目的そのものではなく、治療の選択と回復の見通しの確認の後に現れる変化です。
生活復帰の目安も、術式選択と同じくらい大切です。腫れや内出血の見通し、つっぱり感が落ち着く時期、仕事や人に会う予定への影響などは、術式によっても個人の瞼の状態によっても変わります。そこを診察で確認してから考えれば十分です。
なぜ、形成外科での相談だけで「迷い」が軽くなるのか?
「まぶたの相談をしたら、そのまま手術を勧められるのでは…」と不安に思う必要はありません。形成外科の外来は、あなたの不安を整理し、負担を減らすためにあります。
1. その場で決めなくていい
まずは「今、何が起きているか」を診察する場です。手術を受けるかどうかは、情報を持ち帰ってから、ご自身のタイミングで決めていただけます。
2. 「評価」を受けるだけでも大きな意味がある
「ただの疲れ目」なのか「眼瞼下垂という病気」なのか。原因がはっきりするだけで、これまで抱えていたモヤモヤとした不安は解消されます。
3. 必要な「範囲」だけを検討できる
まぶたの状態は人それぞれです。すべてを一度に治すのではなく、「今の自分にとって、どこまでの改善が必要か」を専門家と一緒に優先順位をつけて検討できます。
4. 「術式の理由」と「回復の見通し」がセットで分かる
なぜその術式なのか、そして術後はいつ頃から普段の生活に戻れるのか。この2つがセットで整理されることで、具体的な未来がイメージできるようになり、迷いや不安は自然と軽くなっていきます。
まとめ
ハードコンタクトレンズの使用は、まぶたが下がってしまう「眼瞼下垂(がんけんかすい)」を引き起こす大きな原因のひとつです。
しかし、この症状は正しく治療すればしっかり改善します。大切なのは、手術を急ぐ前に、まずは自分の状態を冷静に見極めることです。
迷っている段階の相談でも大丈夫です。
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