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当院が「Iライン・Oライン脱毛」をおすすめしない理由。医学的視点から考える毛の役割
美容医療の世界では今、「全身脱毛」や「介護脱毛」として、デリケートゾーン(VIO)をすべて無毛にするのが当たり前のようになっています。しかし、当院では開院以来、一貫してIラインおよびOラインの脱毛は積極的におすすめしておりません。流行に逆行するように見えるかもしれませんが、そこには形成外科専門医としての、医学的根拠に基づいた明確な理由があります。今日は、あまり語られることのない「体毛の本来の役割」と、健康を守るための選択についてお話しします。
1. 「毛」は体への侵入を防ぐバリアである
そもそも、なぜ私たちの体には特定の場所に毛が生えているのでしょうか。生物学的に見て、無駄なものは一つもありません。特にデリケートゾーンの毛には、外部からの摩擦を防ぐだけでなく、ウイルスや細菌の侵入をブロックする「物理的なバリア」としての重要な役割があります。医学的な研究報告や論文の中には、デリケートゾーンの毛を完全になくしてしまうことで、皮膚のバリア機能が低下し、特定の性感染症(STI)への感染リスクが、適切に毛がある状態に比べて高まる可能性を示唆するものもあります。すべてをなくす「ハイジニーナ」が衛生的だという風潮もありますが、医学の視点で見れば、毛があることで守られている健康もあるのです。
2. 皮膚を守り、摩擦を軽減する機能
IラインやOラインは、体の中でも非常に皮膚が薄く、常に下着や皮膚同士の摩擦にさらされているデリケートな部位です。毛が存在することで、歩行時や運動時の摩擦を軽減する「クッション」の役割を果たしています。これらをすべて取り除いてしまうことで、皮膚が直接擦れ、慢性的な炎症や色素沈着(黒ずみ)を引き起こす原因になることも少なくありません。私たちは「見た目の美しさ」を追求する診療を行っていますが、それはあくまで「健康な肌」が前提です。将来的な肌の健康を損なう可能性がある治療に対しては、慎重であるべきだと考えています。
3. 「流行」よりも「医学的な誠実さ」を優先する
現在、多くの脱毛サロンやクリニックが「全身セット」としてVIO脱毛を推奨しています。もちろん、それが個人の自由であり、メリットを感じる方がいらっしゃることも否定はしません。しかし、25年以上にわたり新潟で形成外科診療を行ってきた私には、一つの信念があります。それは、「医学的にリスクが懸念される、あるいは本来の生理機能を損なう治療を、安易に推奨しない」ということです。流行っているから、利益が出るからという理由でメニューに加えるのではなく、医師として「自分の家族や大切な人に心から勧められる治療かどうか」を常に自問自答しています。その結果が、現在の「あえて行わない」という選択に繋がっています。
4. 当院が提供するのは「健康的な美しさ」
当院では、腕や足、顔など、自己処理による肌荒れを防ぎ、生活の質を高めるための脱毛は積極的に行っています。それは、それらの部位の脱毛が、多くの場合において肌の健康を守ることに繋がるからです。一方で、デリケートゾーンに関しては、毛をすべてなくすことのリスクも正しく知っていただきたいのです。当院を訪れる患者様には、メリットだけでなく、こうした医学的な側面も包み隠さずお伝えしたいと考えています。
医師として守りたいもの
「他のクリニックではできるのに、なぜ?」と思われるかもしれません。
しかし、医療とは本来、患者様の将来にわたる健康を第一に考えるべきものです。
25年前の開院当初から変わらない私の想いは、
正しい医学的知見に基づいた、安心できる医療の提供」です。流行に流されず、専門医としての良心に従い、皆様の肌と健康を守るためのゲートキーパーであり続けたいと思っています。当院は、これからも「なぜその治療を行うのか」「なぜ行わないのか」を明確にし、お一人おひとりに誠実に向き合ってまいります。





