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気になるお悩みや最新治療について、ぜひ参考になさってください。
まぶたにできる黄色い盛り上がり。それは「黄色腫」かもしれません。
黄色腫(おうしょくしゅ)は、まぶたの皮膚の中に脂質が沈着してできる「黄色い小さなふくらみ」や「平らな黄色の斑点」のことを指します。多くはまぶたの内側寄りに出現し、左右どちらにも認められることがあります。痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないため、初期では見過ごされやすい病変です。
原因
血液中のコレステロール値が高い場合が関係しやすいとされていますが、正常の方にも発生します。そのため「生活習慣だけの問題」ではありません。皮膚の薄いまぶたは、脂質の沈着が表面に反映されやすく、この部位で目立ちやすくなります。
自然に消えることはほとんどなく、経過とともに範囲が広がることがあります。
どのくらいの年代に多いのか
40〜60歳代に比較的多いとされていますが、年齢にかかわらず認められることがあります。男女差はありますが、女性に多い傾向があると言われています。また家族歴や体質による影響が背景にある可能性もあります。
なぜ見た目が気になる疾患と言われるのか
黄色腫は命に関わる病気ではありません。しかしまぶたは顔の中心部であるため、小さな変化でも人から見られやすく、「見た目の印象」に影響します。ファンデーションで隠れにくいことも多く、美容上の悩みにつながりやすい疾患です。
皮膚科で積極的治療が行われにくい理由
黄色腫は保険診療では治療方法が限られてしまうことがあり、美容領域と重なる位置づけになりやすい病変です。そのため
・経過観察
・美容外科や形成外科への相談案内
という流れになる医療機関もあります。皮膚科が積極的に治療しないというより、制度上、治療の選択肢が制限されてしまっていることが背景にあります。
診断と検査について
診察では、病変の場所・大きさ・厚みを確認します。必要に応じて血液検査で脂質の値を確認する場合もあります。しかし、脂質が正常であっても黄色腫は存在するため、血液検査結果だけで判断することはできません。
治療について
黄色腫は以下の方法で治療します。
1)切除治療
小さな病変では切除し縫合する治療が選択されます。確実に病変を除去できますが、病変が大きい場合は瞼の皮膚の再建が必要になることもあり、傷跡が目立つ可能性があります。
2)レーザー治療
炭酸ガスレーザーを用いて、病変に含まれる脂質を蒸散させる方法です。切開をせずに治療でき、正常皮膚への負担が比較的少ないことが利点です。病変の厚みや広がりによっては、一度で終了する場合もありますが、大きい場合は複数回に分けて少しずつ治療することもあります。
治療選択は病変の広さ・厚さ・部位、そして希望する仕上がりによって変わります。
再発について
黄色腫は治療後に再発する可能性があります。体質・脂質代謝の違いも関係するため、どの治療方法が必ず再発しないというわけではありません。必要に応じて追加治療を行う場合があります。
いつ受診すべきか
・広がってきたと感じるとき
・両側性になってきたとき
・見た目が気になり始めた段階
このようなタイミングで受診すると、治療選択の幅が広くなります。
まとめ
黄色腫はまぶたに生じる脂質沈着による病変で、自然に消えることは非常に稀です。治療方法には切除とレーザー治療があり、状態に応じて選択します。美容的な悩みにつながりやすい疾患ですが、専門の医療機関で治療が可能です。気になる変化に気づいた段階で早めの相談が推奨されます。




