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気になるお悩みや最新治療について、ぜひ参考になさってください。
黄色腫は意外と多い。でも皮膚科では治療されにくい。そこから悩みが始まる。
まぶたに、うっすら黄色っぽい盛り上がりができることがあります。
鏡で見たとき、なんとなく「前よりも広がってきたかな?」と感じる。
ファンデーションで隠そうとしても、光の当たり方でわかってしまう。
最初は小さな点のようでも、気づいた時には薄い板状に広がり、左右両方に見えてくることもあります。
これが「黄色腫(おうしょくしゅ)」です。
私は30年以上、形成・美容外科領域で診療をしていますが、黄色腫は「珍しい病気」ではありません。むしろ、気づいていないだけで意外と多い。
しかし、多くの患者さんはこの「黄色いふくらみ」をどう扱っていいのか分からず、どこに相談すればいいか迷ってしまうのが現実です。
「まぶたにできた黄色いものって何?」
「病院に行くほどのもの?」
「皮膚科で相談しても大丈夫?」
このあたりで迷いが起きます。
正体は脂質が皮膚に沈着した変化
黄色腫は、脂質(コレステロール)が皮膚内に沈着して起こる変化です。
血液のコレステロール値が高い方に出やすいと言われていますが、正常値の方にも見られます。
そして自然に消えることはほとんどありません。
だからこそ「いつか消えるのでは?」と様子を見ていると、むしろ少しずつ広がっていくことがあり、「気づかないふり」をしている時間が長くなるほど、治療する決断が先延ばしになってしまうのです。
多くの人が最初に行くのは皮膚科
しかし、ここで多くの患者さんが困るポイントがあります。
皮膚科は基本的に保険診療が中心の診療科です。
もちろん皮膚疾患全般に対応していますし、説明も丁寧な先生は多いのですが、黄色腫の治療では「積極的に対応している施設」と「診断だけして経過観察にする施設」が混在します。
これは
・保険診療では手技治療に限界がある
・美容領域に近い病変は積極的治療の優先度が下がる
という日本の医療制度上の事情が関係しています。
その結果、多くの患者さんは
「特に治療は必要ありません」
「気になるなら美容外科で相談を」
と案内されることが多いのです。
ここで多くの患者さんははじめて「自分で次の病院を探さないといけない」という状況になります。
黄色腫は“命にかかわる病気”ではない。だからこそ悩みは深い
命に関わるわけではありません。
痛みもありません。
しかし、まぶたは顔の中で最も目につく場所です。
メイクでも隠しづらい部分です。
小さいけれど、確実に日々の印象に影響する。
「老けて見える気がする」
「会う人に指摘されたくない」
こうした小さなストレスは積み重なると、かなり重い心理的負担になっていきます。
そしてこの「気になり始めてから本格的に治療できる場所に辿り着くまでの時間」が、黄色腫の患者さんにとって最もつらい部分だと私は感じています。
自分だけではない。黄色腫は意外と多い
形成・美容外科の診療では、黄色腫は決して珍しくありません。
しかし、患者さんそれぞれは
「自分だけの特殊なもの」
「変なできものではないか」
と不安を抱えてしまう。
黄色腫は治療できます。




