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リストカット跡は本当に消せる?形成外科専門医が正直に解説
「リストカット跡を消したいのですが、本当に消えますか?」
診察でよく受ける質問です。
現在の医療では、リストカット跡を完全に消すことはできません。
インターネットには、「レーザーで傷跡が消える」「なかったことにできる」といった表現も見られます。しかし、形成外科医として長年傷跡治療に携わってきた立場から言えば、そのような説明は現実的ではありません。
ただし、完全に消せないからといって治療に意味がないわけではありません。
リストカット跡の治療で大切なのは、傷跡をゼロにすることではなく、患者さん自身が傷跡に振り回されない生活を取り戻すことです。
リストカット跡はなぜ残るのか
リストカットによって皮膚が深く傷つくと、身体は傷を修復しようとします。
しかし、深く傷ついた皮膚は元の状態とまったく同じには戻りません。
その結果として瘢痕(はんこん)、つまり傷跡が残ります。
傷跡には、白く細い線状のもの、幅が広がったもの、赤く盛り上がったもの、凹凸が目立つものなどさまざまな種類があります。
また、傷の深さや数、範囲、体質によっても状態は大きく異なります。
そのため、同じリストカット跡でも治療方法は一人ひとり異なります。
治療で最も大切なのはゴールを決めること
診察をしていると、多くの患者さんが最初に
「完全に消したいです」と話されます。
リストカット跡は単なる傷跡ではありません。
傷跡を見るたびに過去のつらい出来事を思い出してしまう方もいます。
半袖を着ることを避けるようになったり、人から傷跡について聞かれることを不安に感じたりする方も少なくありません。
しかし、治療を始める前に考えていただきたいことがあります。
それは「何のために治療を受けるのか」ということです。
少しでも目立たなくしたいのか。
他人からリストカット跡だと指摘されにくくしたいのか。
傷跡を見るたびにつらい記憶がよみがえる負担を軽くしたいのか。
患者さんによって治療の目的は異なります。
このゴールがあいまいなまま治療を始めると、どのような治療を受けても満足できない結果になりかねません。
そのため当院では、治療前にできることとできないこと、予想される結果、治療後に残る傷跡について、できる限り詳しく説明するようにしています。
耳ざわりの良い言葉だけを並べることは簡単です。しかし、治療後に「思っていたのと違った」と感じていただきたくないため、現実的な説明を大切にしています。
レーザーだけで改善できるとは限らない
リストカット跡の治療としてレーザー治療が紹介されることがあります。
確かにフラクショナルレーザーは有効な治療法の一つです。
傷跡の凹凸や質感を改善し、目立ちにくくする効果が期待できます。
しかし、レーザーは万能ではありません。
幅の広い傷跡や深い傷跡、多数の傷跡、盛り上がった傷跡では、レーザーだけでは十分な改善が得られないこともあります。
実際に、何度もレーザー治療を受けたものの、期待したほどの変化が得られなかったという相談を受けることもあります。
ここは少し辛口になりますが、傷跡治療は機械選びではありません。
大切なのは傷跡を正しく診断し、その傷跡に合った治療法を選択することです。
手術が適している場合もある
傷跡の状態によっては、切除形成術が適している場合があります。
切除形成術では傷跡を切除し、形成外科の技術を用いて縫合し直します。
単純に切って縫うのではなく、傷跡の方向を変えたり、Z形成術やW形成術を組み合わせたりすることで、より自然な傷跡を目指します。
すべての傷跡に適応できるわけではありませんが、レーザー治療だけでは改善が難しい傷跡に対して有効な選択肢になることがあります。
削皮術という選択肢
傷跡の数が多い場合や広範囲に及ぶ場合には、炭酸ガスレーザーを用いた削皮術を検討することがあります。
削皮術は、リストカット特有の線状瘢痕を目立ちにくくし、より自然な印象の傷跡へ近づけることを目的とした治療です。
一方で、治療後にはガーゼ交換が必要となり、赤みや色素沈着、肥厚性瘢痕などが生じる可能性もあります。
どの治療法にもメリットとデメリットがあります。
そのため、傷跡の状態だけでなく、患者さんがどのような結果を希望されるのかも含めて治療法を選択することが重要です。
病院選びで大切なこと
リストカット跡の治療で重要なのは、どの機械を持っているかではありません。
誰が診察し、誰が治療を行うかです。
傷跡治療には、形成外科的な診断能力と治療経験が必要です。
レーザー治療だけでなく、切除形成術、削皮術、肥厚性瘢痕への対応、術後の傷跡ケアまで考えなければなりません。
傷跡は一度治療すると元には戻せません。
だからこそ、十分な説明を受けたうえで治療を受けることが大切です。
相談することから始めてください
リストカット跡で悩んでいる方の中には、受診すること自体に不安を感じている方もいます。
しかし、相談したからといって治療を受ける必要はありません。
まずは現在の傷跡でどのような治療が可能なのか、どの程度の改善が期待できるのかを知ることが大切です。
説明を聞いたうえで、治療するかどうかをゆっくり考えていただければよいと思います。
まとめ
リストカット跡を完全に消すことはできません。
しかし、傷跡を目立ちにくくすることで、半袖を着やすくなったり、人から指摘される不安が軽くなったり、傷跡を見るたびにつらい記憶がよみがえる負担が軽減されたりすることは期待できます。
そのためには、まず治療のゴールを明確にすることが大切です。
当院では、リストカット跡や根性焼きの傷跡に対して、フラクショナルレーザー治療、切除形成術、炭酸ガスレーザーによる削皮術などを、傷跡の状態に応じてご提案しています。
リストカット レーザー治療 手術
詳しい治療方法については、当院ホームページの「リストカット(自傷瘢痕)・根性焼き」の診療ページをご覧ください。





