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逆さまつげは自然に治る?手術が必要なケースを形成外科専門医が解説
「逆さまつげは、そのうち自然に治りますか?」
診察でよく受ける質問です。
小さなお子さんのご家族だけでなく、大人になってから症状が出てきた方からも聞かれます。
インターネットには「成長とともに治ることがあります」「まずは様子を見ましょう」と書かれていることも多く、「急いで受診しなくてもいいのでは」と考える方も少なくありません。
しかし、この考え方には注意が必要です。
確かに自然に改善する逆さまつげはあります。しかし、それはすべての逆さまつげではありません。
自然に治るのを待つ前に、まつげが黒目を傷つけていないかを確認することが大切です。
子どもの逆さまつげは自然に治ることがある
子どもの逆さまつげの多くは、「睫毛内反(しょうもうないはん)」と呼ばれる状態です。
乳幼児では鼻が低く、下まぶたの皮膚がふっくらしているため、その皮膚がまつげを内側へ押し込みます。
そのため、生まれたばかりの赤ちゃんでは逆さまつげは珍しい病気ではありません。
報告では0歳児のおよそ半数にみられるとされています。
しかし、成長とともに顔つきが変わり、鼻が高くなり、まぶたの形も変化するため、多くは自然に改善します。
成長とともに自然に改善する子どもが多く、12歳頃になると、逆さまつげがみられる子どもは約2%まで減少すると報告されています。
このため、小さなお子さんでは経過観察を選ぶことも少なくありません。
しかし「自然に治る」と思って放置してはいけません
逆さまつげが自然に改善する可能性があることと、「放置してよい」ということは全く別の話です。
乳幼児では、まつげが細く柔らかいため症状が少ないことがあります。
しかし、成長とともにまつげは太く、硬くなります。
その結果、
・目をこする
・涙が増える
・目やにが多い
・充血する
・まぶしそうにする
といった症状が現れることがあります。
さらに重要なのは、症状が軽くても角膜に傷がついていることがあるという点です。
本人が「少しゴロゴロするだけ」と思っていても、診察すると角膜に細かな傷が認められることは決して珍しくありません。
正面では当たっていなくても安心できません
診察室で正面を見てもらうと、
「まつげは当たっていないようですね。」と思われる患者さんがいます。
しかし、実際にはそれだけでは判断できません。
私たちは日常生活で、正面を見るよりも下を見る時間の方が圧倒的に長いからです。
スマートフォンを見る。
本を読む。
勉強する。
新聞を読む。
食事をする。
これらはすべて下方視です。
下を向くと下まぶたの皮膚の動きが変わり、まつげが角膜へ強く接触することがあります。
実際、正面では接触していなくても、下方視では明らかに角膜へ触れている患者さんを数多く経験しています。
逆さまつげは、「正面で大丈夫だから安心」という病気ではありません。
大人の逆さまつげは自然に治ることはほとんどありません
大人になってから起こる逆さまつげは事情が違います。
加齢による皮膚のたるみや眼輪筋の変化、まぶたを支える組織のゆるみなどが原因となることが多く、自然に改善することはほとんど期待できません。
「年齢とともに治る」のではなく、「年齢とともに悪くなる」ことの方が多いのです。
何年もまつげを抜き続けて来院される患者さんもいます。
しかし、まつげを抜いても原因は残っています。数週間すればまた生えてきます。
そのたびに抜き続ける生活を何年も繰り返すことは、根本的な解決とはいえません。
手術が必要なのはどんな場合?
すべての患者さんが手術を受ける必要はありません。
しかし、
・角膜に傷がある
・涙や目やにが続く
・何度もまつげを抜いている
・充血を繰り返す
・眼科で角膜障害を指摘された
・日常生活に支障がある
このような場合には、手術を検討する価値があります。
小児であっても、角膜障害や強い症状があれば、「成長するまで待つ」のではなく、早めに手術を行った方がよいことがあります。
反対に症状が軽く、角膜にも異常がなければ経過観察という選択もあります。
大切なのは年齢ではなく、症状と角膜の状態です。
形成外科専門医からお伝えしたいこと
逆さまつげは命に関わる病気ではありません。
だからこそ、「そのうち治るだろう」と軽く考えられがちです。
しかし、毎日まつげが角膜をこすっている状態は、靴の中に小さな石が入ったまま歩き続けているようなものです。
最初は我慢できても、その刺激は毎日積み重なります。
特に大人の逆さまつげでは、「自然に治ること」を期待して待つ医学的な根拠はほとんどありません。
逆さまつげで本当に大切なのは、「自然に治るか」ではなく、「角膜が傷ついていないか」を見極めることです。
気になる症状がある方は、「もう少し様子を見よう」と考える前に、一度眼科または形成外科で相談することをおすすめします。
逆さまつげの治療・日帰り手術
逆さまつげでお困りの方へ。原因や症状、治療方法から健康保険による日帰り手術まで、形成外科専門医が分かりやすくご紹介しています。





