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ほくろ除去は「保険の方が安い」は本当?形成外科が教える総コストと時間の現実
「保険なら安い」は思い込みかもしれない。
「ほくろ除去は保険でできるの?」「保険なら安いんでしょう?」
初診でよくいただく質問です。保険診療は多くの医療で患者負担を軽くする大切な制度です。ただし、ほくろ除去に関しては「保険=常に安い』とは限りません。
ほくろはほとんどが良性の腫瘍であり、保険適用になるのは「悪性を疑う所見がある場合」や「レーザーで削ると傷あとが強く目立つ可能性が高い場合」など、医学的に検査や切除(手術)を優先すべきケースに限られます。
手術(切除縫合)は保険対応でも行えますが、術前検査・消毒・抜糸・再診が必要で、通院にかかる時間、交通費、そして生活の調整コストまで含めると、結果的に総コストが高くなることがあります。
一方でレーザー治療は自由診療(自費)ですが、当日治療がしやすく、抜糸も不要で再診は1回だけ。治療後の生活も無理なく組み込みやすい。費用の総額と、その後の通院やケアの流れが最初に分かると、安心して治療を選びやすくなります。
レーザーと手術、費用だけで決めてはいけない理由
1. レーザー治療(自由診療)の特徴と費用の考え方
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適応:小さめ・浅め・隆起したほくろ、頭皮や瞼縁など縫合が難しい部位
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費用:自費診療ですが総額を最初に提示(麻酔・テープ・軟膏を含めて治療費)
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治療時間:1個2〜3分程度。複数個でも当日対応しやすい
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術後:再診は2週間後の1回のみ。抜糸なし
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再発対応:1年以内の再発なら再診料550円(税込)で何個でも再照射
※再照射は炎症が落ち着きやすい6か月以降に行います。 -
生活:照射後はテープ保護(顔1日・体4〜5日)→翌日から洗顔・入浴OK
軟膏は2週間→その後は瘢痕クリームでケア
2. 手術(切除縫合|保険対応)の特徴と費用の落とし穴
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適応:
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悪性が疑われる所見(非対称・境界不明瞭・濃淡が強い・急な増大 など)
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ほくろが大きく、レーザーで深く削ると凹みや肥厚が目立ちやすい部位
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費用:保険診療の自己負担は一見安く見えますが
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術前の血液検査
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消毒や抜糸のための再診
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術後の経過確認の受診
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交通費
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通院の時間(仕事を休む・生活調整のロス)
を含めると、「結局いくら?」が不透明になりやすく、負担が増えるのです。
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術後経過:赤みが数ヶ月続く/Dog ear変形の可能性/テープ管理が必要
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生活の制約:シャワー・洗顔は翌日OKでも行事があると調整が必要
みんなが勘違いする「保険のほうが安い」問題
1. 「安さの比較対象」が治療費だけになっている
ほくろ除去の費用を調べるとき、多くの方は「治療費(施術代)」だけを比較しています。ですが実際に患者さんが払うのは、治療費だけではありません。
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通院の交通費
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受付・待合・移動・処置室で過ごす時間
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仕事や学校のスケジュール調整のストレス
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付き添い・家族の予定の調整
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術後ケアのための生活の切り替え
これらの「お金」「時間」「気力」はすべてがコストです。
2. 再発と見間違えやすいものがある(特に顔)
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かさぶた跡
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テープかぶれの赤み
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炎症後色素沈着(PIH)
これを「再発した」と検索して受診される方はとても多いのですが、PIHは再発ではなく炎症の反応です。レーザーで追いかけても炎症を強めてしまうだけ。経過を待つ方が跡が落ち着きやすいのです。
3. 顔は再発しやすい → しかし削りすぎると傷が目立つ → だから1回目は控えめが正解
顔のほくろは表面は小さく見えても根が深いことがあり、最初から深く広く削ると凹みや色ムラが光の関係で目立ちやすくなるため、当院では初回は正常皮膚への負担を広げない深さで丁寧に削る方針を取っています。
そして再発率は若い世代でやや高いものの、実際は過度に多いわけではありません。万が一再発した場合も、2回目の照射は半年以降に行えば組織が十分蒸散されやすく、炎症も追い詰めず、さらに再発しにくくなることが多いのです。
保険適用で本当に得をするのはどんな時?
保険適用が向いているケース
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ほくろが7mm以上
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左右対称でない
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境界が不明瞭
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濃淡が極端
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急に大きくなった(5mm以下でも注意)
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足裏や手のひら(悪性黒色腫の鑑別を優先)
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再発を絶対避けたい大型の顔面ほくろ
これらは切除して病理検査を行う医学的意義が高いため保険が制度として生きる場面です。
逆に保険適用が向かない(総コストで損になりやすい)ケース
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小さく浅いほくろ
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形成的に縫合が難しい部位
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生活調整のロスを避けたい人
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予定が詰まっている人
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通院の時間が何よりももったいないと感じる人
ほくろ除去で後悔を生まないための費用と時間の設計
当院の治療ポリシーはこの2つです。
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「費用の総額」を診察の最初に提示し、不安を残さない
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「生活の中で無理なくケアできる計画」を治療前に一緒に決める
これにより
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余計な追加提案への不安が減り
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「保険のほうが安いんですよね?」という迷いも減り
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「やっぱりもう少しあとで…」という治療離脱も減り
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治療後の納得感と満足度が高くなりやすいのです。
ほくろ除去に関するよくある勘違い
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「治る」「消える」→ 正しくは成熟した傷跡になり目立ちにくくなる
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「跡は消える」→ いいえ、完全にゼロにはなりません
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「戻ったからすぐ再発」→ いいえ、PIHやかさぶた跡の方が多い
治療費だけの比較は、治療の全体像を見失いやすい
ほくろ除去の費用で本当に大切なのは、治療費だけでなく総コスト(通院時間・交通費・術後ケアの生活調整)まで含めて判断することです。
保険診療は「悪性疑い」「大型」「部位特性」で優先されるケースでは制度として価値がありますが、小さく浅いほくろや生活調整ロスを避けたい人には、総額が先に見える自由診療のレーザーのほうが結果的に負担が軽い という場面も多いのです。




