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リストカット跡を目立たなくする手術とは?
切除形成術で傷跡の印象は変えられるのか
リストカット跡の治療について相談を受けると、
「傷跡を切り取れば消えますか」
という質問をよく受けます。
形成外科で行う切除形成術は、傷跡をなくす手術ではありません。
リストカット跡を、手術による一本の傷跡へ変える手術です。
この違いを理解しないまま手術を受けると、「思っていた結果と違った」と後悔することがあります。
形成外科専門医として最初にお伝えしたいのは、切除形成術の目的は傷跡を消すことではなく、傷跡の意味を変えることだということです。
切除形成術とは
切除形成術は、リストカットによってできた傷跡を切除し、形成外科の縫合技術を用いて丁寧に縫い合わせる手術です。
手術後には、新しい一本の手術痕が残ります。
「傷跡がなくなる」
のではなく、
「別の傷跡へ変える」治療です。
「傷跡を増やすのですか」と驚かれる患者さんもいます。
しかし、形成外科では昔から、目立つ傷跡をより目立ちにくい傷跡へ変えることを目的とした手術が行われています。
リストカット跡も、その考え方を応用した治療の一つです。
手術の目的は傷跡の印象を変えること
リストカット跡には独特の特徴があります。
細い線が何本も並んでいることが多く、一目見ただけでリストカット跡と分かってしまうことがあります。
そのため、患者さんが最も悩まれるのは、傷跡そのものよりも、
「周囲の人にどう思われるのか」
ということです。
形成外科の切除形成術では、この印象を変えることを目指します。
手術後の傷跡は残りますが、多くの場合、リストカット特有の印象は軽減されます。
他人から見ても、「手術の傷かな」と受け止められることが多くなります。
もちろん、すべての方がそう見えるとは限りません。
しかし、「リストカット跡」と受け止められる可能性を減らすことは期待できます。
すべての傷跡が手術に向いているわけではありません
ここで重要なのは、手術は万能ではないということです。
傷跡の本数が非常に多い場合や、広い範囲に細かい傷跡がある場合には、すべてを切除することは現実的ではありません。
無理に切除すると、かえって大きな傷跡になってしまうこともあります。
そのような場合には、
フラクショナル炭酸ガスレーザー
削皮術
などを組み合わせた方が良いこともあります。
「リストカット跡だから手術」ではありません。
傷跡の状態を診察したうえで、最も適した治療法を選ぶことが大切です。
形成外科の技術が生かされる手術です
切除形成術では、単に傷跡を切り取って縫うだけではありません。
皮膚にかかる張力や傷跡の向きを考えながら、形成外科の基本手技を用いてできるだけ目立ちにくい傷跡を目指します。
縫合方法一つで、将来の傷跡は大きく変わります。
そのため、この手術には形成外科の経験が重要になります。
大切なのは傷跡だけではありません
リストカット跡の手術で最も大切なのは、皮膚だけではないと考えています。
患者さんが本当に苦しんでいるのは、傷跡を見るたびによみがえる過去の記憶であることが少なくありません。
半袖になれない。
人の視線が気になる。
家族に見られたくない。
温泉へ行けない。
傷跡があることで、毎日の生活の中で何度も過去を思い出してしまう方もいます。
だからこそ、手術の目的は皮膚を縫うことだけではありません。
精神的な負担を少しでも軽くすることも、この治療の大切な目的だと考えています。
私が患者さんにお伝えしていること
手術を終えた患者さんには、いつも同じようなお話をしています。
「クリニックを出たら、この傷は手術でできた傷だと思って生活してください。」
もちろん、過去がなくなるわけではありません。
しかし、傷跡を見るたびにリストカットを思い出すのではなく、
「これは手術を受けた傷だ」
と受け止めることで、少しずつ気持ちが変わっていく方がおられます。
医学的な治療だけではありません。
傷跡に対する考え方が変わることも、治療の一つだと私は考えています。
手術を受ける前に知っておいてほしいこと
切除形成術には限界があります。
完全に傷跡をなくすことはできません。
また、手術をしても傷跡が残ることには変わりありません。
リストカット特有の印象を和らげたい。
過去の出来事から少し距離を置きたい。
人前で腕を見せられるようになりたい。
そのような希望を持つ方にとっては、有力な治療の選択肢になります。
まとめ
リストカット跡の切除形成術は、傷跡を消す手術ではありません。
傷跡を、別の意味を持つ傷跡へ変える形成外科の治療です。
その目的は、見た目を改善することだけではありません。
傷跡を見るたびによみがえる過去の記憶や精神的な負担を少しでも軽くし、前向きに生活するためのお手伝いをすることです。
形成外科専門医として私が目指しているのは、傷跡だけを治すことではありません。患者さんが過去から少し距離を置き、新しい一歩を踏み出せるよう支えることも、この手術の大切な役割だと考えています。
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