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リストカット跡は形成外科と美容外科どちらを受診すべき?
診療科名だけで選ぶと後悔する理由
「リストカット跡を治したいのですが、形成外科と美容外科のどちらを受診すればよいでしょうか。」
インターネットで調べると、「形成外科がおすすめ」という意見もあれば、「美容外科でも治療できる」と書かれているホームページもあります。
そのため、「結局どこへ行けばよいのか分からない」と迷う方は少なくありません。
私の答えはいつも同じです。
診療科名だけで受診先を決めることはおすすめしません。
本当に大切なのは、形成外科なのか美容外科なのかではありません。
その医師がリストカット跡の治療をどれだけ経験しているかです。
私は四十年以上形成外科医として診療を続けてきました。
外傷や熱傷、手術後の傷跡、ケロイド、皮膚腫瘍切除後の再建など、数え切れないほど多くの傷跡を診てきました。
その経験から言えることがあります。
リストカット跡ほど、「診療科」ではなく「医師」を選ぶことが重要な傷跡はありません。
形成外科ならどこでも治療しているわけではありません
「傷跡だから形成外科へ行けば大丈夫。」
このように考えている方は多いと思います。
しかし、実際にはそうではありません。
リストカット跡を目立ちにくくする治療は、美容的な改善を目的としているため、多くは自由診療になります。
そのため、保険診療を中心に行っている形成外科では、リストカット跡の治療を行っていない医療機関も少なくありません。
形成外科には、大学病院や総合病院の形成外科、地域の形成外科クリニックなどさまざまな施設があります。
その多くは外傷や熱傷、皮膚腫瘍、先天異常、乳房再建などの保険診療が中心です。
自由診療を行っていない施設では、リストカット跡の治療そのものを受け付けていないこともあります。
つまり、「形成外科」という看板だけで受診すると、「当院では対応していません」と言われることも珍しくありません。
美容外科でも事情は同じです
美容外科なら安心なのでしょうか。
美容外科でもリストカット跡を治療している医療機関はあります。
形成外科で十分な経験を積み、傷跡治療を専門的に行っている美容外科医もいます。
一方で、美容外科の診療内容は非常に幅広く、二重まぶたや豊胸、脂肪吸引などを中心に行っている医療機関も少なくありません。
そのような施設では、リストカット跡の治療経験が豊富とは限りません。
つまり、「形成外科だから安心」「美容外科だから不安」という考え方は正しくありません。
診療科名だけでは、その医師がどのような経験を積んできたのかは分からないのです。
私が受診先を選ぶなら、最初に見るのはここです
もし私が患者の立場なら、最初に確認するのは診療科名ではありません。
「この医師はリストカット跡の治療をどれくらい行っているのか」
ホームページに「リストカット跡治療」と書かれていても、それだけでは十分ではありません。
どのような治療法を行っているのか。
診察ではどのように治療方針を決めているのか。
治療の限界についても説明しているのか。
私はその点を重視します。
リストカット跡は、一人ひとり傷跡の状態が違います。
浅い傷跡もあれば、深く幅の広い傷跡もあります。
細い傷が何本も並んでいる方もいれば、皮膚が硬く瘢痕化している方もいます。
そのため、「この治療をすれば大丈夫」という単純なものではありません。
診察をしないまま治療法を決めることは、本来あってはならないことだと私は考えています。
リストカット跡は一つの治療法だけでは治療できません
私は、リストカット跡の治療で最も大切なのは、「どの治療を行うか」ではなく、「どの治療を選択するか」だと考えています。
リストカット跡は、すべて同じ傷跡ではありません。
浅い傷跡もあれば、深く皮膚が陥没している傷跡もあります。
色だけが残っている傷跡もあれば、皮膚が硬くなり、何本もの傷跡が重なっている場合もあります。
そのため、一つの治療法だけで対応できることはほとんどありません。
浅い傷跡にはフラクショナル炭酸ガスレーザーが適していることがあります。
幅が広い傷跡や、傷跡の形を整える必要がある場合には、切除形成術や瘢痕形成術を検討します。
広範囲の傷跡では、植皮術を検討しなければならないこともあります。
さらに、傷跡の凹凸を改善するために、炭酸ガスレーザーによる削皮術が有効な場合もあります。
つまり、リストカット跡の治療には、一つではなく複数の選択肢が必要なのです。
一つの治療法しか提案できない医療機関には注意が必要です
レーザー治療しか行っていない医療機関では、レーザー治療が勧められることが多いでしょう。
反対に、手術しか行っていない医療機関では、切除形成術が勧められることが多いかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、「自分ができる治療」を勧めることではありません。
患者さんの傷跡に最も適した治療を選ぶことです。
私は四十年以上形成外科医として診療を続けていますが、「この治療法だけで十分」と思ったことは一度もありません。
レーザーだけですべて解決できることもありません。
手術だけで満足できる結果が得られるとも限りません。
必要であれば複数の治療法を組み合わせることが、より良い結果につながることもあります。
そのため、私は最初から治療法を決めて診察することはありません。
まず傷跡の状態をよく診察し、その患者さんに最も適した治療法を考えます。
形成外科専門医という資格だけでは判断できません
「形成外科専門医なら安心ですか。」
これもよく受ける質問です。
私の答えは、「資格だけでは判断できません」です。
形成外科専門医であっても、専門分野や日常的に行っている治療は医師によって異なります。
そのため、形成外科専門医であっても、リストカット跡の治療経験が豊富とは限りません。
一方で、リストカット跡のような自由診療の傷跡治療を日常的に行っている医師は、それほど多くありません。
逆に、美容外科医であっても、形成外科で長年経験を積み、傷跡治療を専門的に行っている医師もいます。
つまり、診療科名や資格だけでは、本当の経験は分からないのです。
私は、「どんな資格を持っているか」より、「どんな患者さんを診てきたか」の方が重要だと考えています。
私が診察で必ずお伝えしていること
診察では、「先生、この傷跡を消してください」と言われることがあります。
そのとき私は、最初にこうお話しします。
「完全に消すことはできません。」
患者さんによっては厳しく感じるかもしれません。
しかし、私は期待だけを持たせる説明はしたくありません。
リストカット跡の治療は、傷跡を消す治療ではありません。
今ある傷跡を、より目立ちにくく、手術跡やけがの跡のように見える状態へ近づける治療です。
できることだけでなく、できないことも最初にお伝えすることが、医師として最も大切な責任だと思っています。
まとめ
リストカット跡の治療では、「形成外科だから」「美容外科だから」という理由だけで受診先を選ぶことはおすすめできません。
保険診療を中心に行う形成外科では、自由診療のリストカット跡治療を行っていない施設も少なくありません。
一方、美容外科でも、傷跡治療の経験には大きな差があります。
また、リストカット跡は一つの治療法だけで対応できる傷跡ではありません。
レーザー、切除形成術、瘢痕形成術、植皮術、皮膚移植術、炭酸ガスレーザーによる削皮術など、それぞれの特徴を理解し、その中から患者さんに最も適した治療法を選択できることが重要です。
私は四十年以上形成外科医として診療を続けてきましたが、傷跡を完全に消せる治療法にはまだ出会ったことがありません。
だからこそ、私は「何ができるか」だけではなく、「何ができないか」も正直にお伝えしています。
受診先を選ぶ際には、診療科名やホームページの印象だけで判断するのではなく、リストカット跡の治療経験が豊富で、複数の治療法の中から患者さんに最も適した方法を提案できる医師かどうかを確認していただきたいと思います。
それが、後悔のない治療につながる第一歩になると私は考えています。
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詳しい治療方法については、当院ホームページの「リストカット(自傷瘢痕)・根性焼き」の診療ページをご覧ください。





