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リストカット跡の手術で後悔しないために|限界と適応を形成外科専門医が解説
「リストカット跡を手術で消したい。」
診察で最も多く受ける相談の一つです。
SNSなどでは、手術後のよい面だけが目立つことがあります。
しかし、切除形成術は傷跡を完全になくす手術ではありません。
手術後も傷跡は残ります。
この点を理解しないまま手術を受けると、「思っていた結果と違う」と感じてしまうことがあります。
手術は傷跡を消す治療ではありません
切除形成術は、傷跡をなくす手術ではありません。
今あるリストカット跡を切除し、手術後の傷跡のように見える状態へ近づける治療です。
つまり、リストカット跡として分かりやすい傷跡を、けがや手術後の傷跡として説明しやすい形に変えることが目的です。
この手術の目的を理解したうえで治療を受けることが、後悔しないためには大切です。
反対に、傷跡が完全になくなると思って手術を受けると、手術後に「思っていた結果と違う」と感じてしまうことがあります。
手術が向いている傷跡と向いていない傷跡があります
すべてのリストカット跡が手術に向いているわけではありません。
幅が広い傷跡や深い傷跡、同じ方向に何本も並んだ傷跡では、切除形成術が適していることがあります。
一方で、浅い傷跡が広範囲にある場合や、皮膚に十分な余裕がない場合には、レーザー治療や他の治療を組み合わせた方がよいこともあります。
傷跡を見ずに、「手術が一番です」「レーザーで治ります」と言い切ることはできません。
形成外科では、一人ひとりの傷跡を診察し、その方に合った治療法を選択します。
一度の手術で終わるとは限りません
「一回の手術ですべて治りますか。」
この質問もよく受けます。
傷跡の範囲が広い場合には、一度ですべてを切除できないことがあります。
無理に広く切除すると、縫合部に強い緊張がかかり、かえって傷跡が広がる原因になります。
そのため、あえて数回に分けて治療することがあります。
無理をしないことが、結果として目立ちにくい傷跡につながります。
手術だけでは結果は決まりません
治療は、手術を受ければ終わりではありません。
術後の保湿や紫外線対策なども、傷跡をできるだけ目立ちにくくするために大切です。
傷跡は半年から1年ほどかけて、赤みが落ち着き、少しずつやわらかくなっていきます。
そのため、手術後の過ごし方やケアも、治療の大切な一部になります。
患者さん自身の術後ケアも、傷跡の経過に大きく影響します。
SNSの症例写真だけで判断しないでください
最近では、SNSで多くの症例写真を見ることができます。
しかし、その写真だけでは分からないことがあります。
術後何か月の写真なのか。
何回手術を行ったのか。
どのような傷跡だったのか。
術後ケアはどうだったのか。
これらが分からないまま、「自分も同じようになる」と考えるのは危険です。
大切なのは、自分の傷跡ではどこまで改善できるのかを診察で確認することです。
「傷跡を消したい」より「どうなりたいか」が大切です
診察では、「傷跡を消したい」という相談を受けます。
しかし、お話を伺うと、
「半袖を着られるようになりたい。」
「温泉で人目を気にしたくない。」
「仕事で腕を見られても困らないようにしたい。」
という希望が本当の目的であることも少なくありません。
その目的によって、治療法は変わります。
形成外科では、傷跡の状態だけでなく、患者さんが何に困っているのか、どのような場面で傷跡を目立たなくしたいのかも確認しながら治療法を考えます。
私が患者さんにお伝えしていること
私は、手術を受けられた患者さんに最後にこうお話ししています。
「クリニックを出たら、この傷は手術でできた傷だと思って生活してください。」
もちろん、傷跡がなくなるわけではありません。
しかし、この手術には、リストカット跡ではなく、治療を受けた傷跡として受け止められるようになる意味もあります。
人目を気にせず腕を出せるようになること。
長袖で隠し続けなくてもよくなること。
それが、この手術の大きな目的だと私は考えています。
まとめ
リストカット跡の手術で後悔しないために最も大切なのは、「手術でできること」と「できないこと」を理解してから治療を受けることです。
切除形成術は、傷跡を消す治療ではありません。
リストカット跡を、手術後の傷跡のように見える状態へ近づける治療です。
そのためには、傷跡に合った治療法を選ぶこと、術後のケアを続けること、そして現実的な目標を共有することが欠かせません。
リストカット跡の手術は、「傷跡をなくすための手術」ではありません。
「人目を気にせず生活できる傷跡」を目指すための治療です。
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リストカット レーザー治療 手術
詳しい治療方法については、当院ホームページの「リストカット(自傷瘢痕)・根性焼き」の診療ページをご覧ください。





