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逆さまつげの原因とは?睫毛内反・眼瞼内反・睫毛乱生の違いを形成外科専門医が解説
「逆さまつげと言われましたが、まつげだけの問題なのでしょうか。」
診察でよく受ける質問です。
「逆さまつげ」という言葉は広く使われていますが、一つの病名を指すものではありません。まつげが角膜や結膜に当たっている状態をまとめた一般的な呼び方です。
その原因は一つではなく、睫毛内反、眼瞼内反、睫毛乱生など、いくつかの状態があります。子どもと大人では多くみられる原因が異なり、原因によって治療方法も変わります。
今回は、逆さまつげの原因と、それぞれの違いについて分かりやすく解説します。
「逆さまつげ」は病名ではありません
多くの方は、「逆さまつげ」という一つの病気があると思っています。
しかし、医学的にはそうではありません。
「逆さまつげ」は、まつげが角膜や結膜に接触して症状を起こす状態を表す一般的な呼び方です。
その原因には、
・睫毛内反(しょうもうないはん)
・眼瞼内反(がんけんないはん)
・睫毛乱生(しょうもうらんせい)
などがあります。
原因が異なれば、診断や治療方法も異なります。
子どもに多い「睫毛内反」
乳幼児や小児では、睫毛内反が多くみられます。
鼻根部の発達が十分でなく、下まぶたの皮膚や眼輪筋に厚みがあるため、まつげが内側へ押し込まれ、角膜に当たりやすくなります。
そのため、乳幼児では珍しい状態ではありません。
成長とともに顔つきやまぶたの形が変化し、自然に改善することもあります。
ただし、「自然に改善する可能性がある」ことと、「受診しなくてよい」ことは別です。
症状が軽くても角膜に傷がついていることがあるため、眼科で角膜の状態を確認することが大切です。
大人に多い「眼瞼内反」
大人では、加齢による眼瞼内反も多くみられます。
まぶたを支える組織がゆるむことで、下まぶた全体が眼球側へ向き、まつげが角膜に当たりやすくなります。
このタイプは、自然に改善することはほとんど期待できません。時間とともに、異物感や流涙、充血などの症状が強くなることもあります。
何年もまつげを抜き続けている方も少なくありませんが、まつげを抜いても、原因となるまぶたの状態は改善しません。
睫毛乱生とは
睫毛乱生は、一般に「逆さまつげ」と呼ばれる状態の一つです。
まぶたの向きは正常でも、一部のまつげが本来とは異なる方向へ生え、角膜や結膜に接触します。
まぶたの炎症や外傷、手術後の瘢痕などが関係して起こることもあります。
睫毛内反や眼瞼内反とは原因が異なるため、まつげの本数や当たり方、角膜への影響を確認したうえで治療方法を判断します。
正面だけでは分かりません
「鏡を見ると、まつげは当たっていないように見えます。」
そのように話す患者さんもいます。
しかし、逆さまつげは正面を見た状態だけでは判断できません。
日常生活では、
・スマートフォンを見る
・本を読む
・食事をする
など、下を向く場面が多くあります。
下を向くと、下まぶたの皮膚や眼輪筋の影響によって、まつげが内側へ押し上げられることがあります。そのため、正面では当たっていないまつげが、下方視では角膜に接触することがあります。
診察では、正面だけでなく、下を向いた状態でまつげが角膜に当たっていないかを確認することが大切です。
原因によって治療は異なります
「逆さまつげだから、この治療」と一律に決まるわけではありません。
子どもの睫毛内反では、症状や角膜への影響を確認しながら経過をみることがあります。
一方、大人の眼瞼内反では、自然に改善しにくいため、手術を検討することが少なくありません。
睫毛乱生では、眼科で抜毛などの処置を行いながら経過をみることもあります。
このように、逆さまつげは原因やまぶたの状態、角膜への影響によって治療方法が異なります。
形成外科専門医としてお伝えしたいこと
逆さまつげで最も多い誤解は、「まつげが悪い」という考え方です。
多くの逆さまつげでは、原因はまぶたの形や、まぶたを支える組織にあります。
そのため、何度まつげを抜いても、根本的な解決にはなりません。
また、「逆さまつげ」という言葉だけでは、原因も治療方法も決まりません。
大切なのは、どのタイプの逆さまつげなのかを診断し、眼科で角膜への影響も確認したうえで、経過観察が適しているのか、手術を検討した方がよいのかを判断することです。
逆さまつげが気になる方は、「逆さまつげだから」と一括りに考えず、一度当院へご相談ください。
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